特養と老健の違いは?メリット・デメリットや入居に向いている人の特徴

記事公開日 2022/12/01

記事公開日 2022/12/01

特養と老健の違い

特養と老健の違いをご存知ですか?それぞれ入居できる条件や期間が異なるため、ご本人に合った施設選びが求められます。
この記事では、特養と老健の違いやメリット・デメリット、入居に向いている人の特徴まで詳しく解説します。

そもそも特養・老健とは?

特養・老健とは

特養と老健は、どちらの施設にも介護や日常生活サポートのサービスがありますが、定義が異なります。
ここでは、それぞれの定義の内容から、特養・老健の違いを解説しましょう。

特養とは

特養とは特別養護老人ホームの略称です。
厚生労働省の資料によると、下記のように定義されています。

65歳以上の者であって、身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることが困難なものを入所させ、養護することを目的とする施設【老人福祉法第20条の5】

常時介護を必要とし、自宅での介護が困難な高齢者のための福祉施設です。入居者の要介護度は平均3.95となっており、介護の必要性が高い高齢者が利用する施設だとわかります。

入浴・排泄などの介護サービスや機能訓練、食事の提供、生活支援などを受け、生活の質を保ちながら長期的に暮らせます。
特養は、一人で過ごせない高齢者だけでなく、家族による支援が受けられないと判断された方が、終身に渡って入居できる施設です。

老健とは

老健とは介護老人保健施設の略称です。
介護保険法第8条第28項では下記のように定義しています。

介護老人保健施設とは、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設。

老健は、介護を必要とする高齢者が日常生活に戻るためのケアやリハビリテーションを受けられる施設です。退院後に自宅へ戻ることが難しい身体状態のときなどに利用されます。
自宅生活への復帰を目的としているため、特養よりも活発な機能訓練やリハビリテーションに取り組めます。

在宅復帰できるまでに身体状態が改善したかの判断が3カ月ごとにあり、入居継続と決まれば引き続き施設での生活が可能です。入居期間にある程度の決まりがあるため、入居者の入れ替わりが激しい施設といえるでしょう。

特養と老健の違い一覧

■入居条件
特養:65歳以上で要介護3~5の方
老健:65歳以上で要介護1~5の方

■待機期間
特養:比較的長い
老健:比較的短い

■入居期間
特養:終身利用が可能
老健:3カ月ごとに入居継続を判断

■人員配置
特養
・施設長:1人以上
・介護職員または看護職員:入居者3人に対して1人以上
・医師:必要数
・機能訓練指導員:1人以上
・介護支援専門員(ケアマネジャー):1人以上
・生活相談員:入居者100人に対して1人以上
・栄養士または管理栄養士:1人以上

老健
・医師:入居者100人に対して1人以上
・介護職員または看護職員:入居者3人に対して1人以上
・薬剤師:適当数
・理学療法士、作業療法士、または言語聴覚士:入居者100人に対して1人以上
・介護支援専門員(ケアマネジャー):1人以上
・支援相談員:入居者100人に対して1人以上
・栄養士または管理栄養士:定員100人以上で1人以上

■サービス内容
特養
・介護
・生活支援
・食事・栄養管理
・医療ケア
・機能訓練
・レクリエーション

老健
・介護
・生活支援
・食事・栄養管理
・医療ケア
・リハビリテーション
・レクリエーション

■居室
特養
・定員4人以下(個室あり)
・1人あたり10.65㎡以上

老健
・定員4人以下(個室あり)
・従来型:1人当たり8㎡以上
・ユニット型:1人あたり10.65㎡以上

■費用
特養:月額6万~15万円程度
老健:月額6万~17万円程度

特養と老健には条件や入居期間に違いがあります。
ここでは、特養と老健の違いについて一項目ずつ解説します。

入居条件

特養は65歳以上で要介護3~5の方が入居できます。
ただし、特例が認められた要介護1・2の方、40~64歳で特定疾病のある要介護3~5の方も入居可能です。

一方、老健は65歳以上で要介護1~5の方、40~64歳で特定疾病のある要介護1~5の方が入居できます。

特養は在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える施設です。入居条件は原則要介護3以上に設定されており、老健よりも特養のほうが入居条件は厳しいといえます。

待機期間

特養の待機期間は比較的長く、長いと数年かかる可能性があります。一方、老健は特養と比べると待機期間が短い傾向です。

これは、入居期間の長さとも関係します。老健は3カ月ごとに入居継続の判断があり、3~6カ月の短期間で退去する方もいます。そのため、次の方が入居しやすく、待機期間が短くなりやすいのです。

入居期間

特養は長期の利用を前提としており、終身で利用できる施設です。特養の平均入居期間は約4年となっています。

老健は入居者の在宅復帰を目指しているため、入居期間は原則3カ月です。そのため、3カ月ごとに入居継続の判定があり、継続が決まれば延長されます。老健の平均入居期間は約1年です。

人員配置

老健は、理学療法士、作業療法士、または言語聴覚士を100人に対して1人以上配置しなければならないとされています。特養よりもリハビリテーションに取り組める環境が整っているといえるでしょう。
老健には常勤の医師や薬剤師もいるため、急な体調不良や服薬指導などにも対応してもらえます。

サービス内容

介護や生活支援、食事の提供など基本的なサービスは特養・老健のどちらも行っています。

老健では在宅復帰を目指すリハビリテーションが重点的に行なわれます。また、特養よりも医療が充実しているといえるでしょう。ちょっとした治療であれば施設内で行われ、医療保険ではなく介護保険が適用されます。

看取りは特養・老健どちらでも施設によってサービスの有無が異なります。回復に見込みがない方にもできる限りのケアをして、入居者の尊厳を最大限尊重しながら支援します。

居室

居室の広さは特養が10.65㎡以上老健は従来型であれば8㎡以上と決められています。8㎡は5畳弱にあたる広さなので少し狭く感じるかもしれません。

ただし、どちらの居室面積もあくまで最低ラインです。詳しくは各施設に確認してみてください。

費用

費用は老健の方が少し高い傾向です。どちらも入居一時金はかからないものの、リハビリテーションの体制や医療ケアの充実度などによって費用に差が出ます。
老健では介護保険によって一部の医療が提供されるため、施設サービス費に一部の医療ケア費も含まれています。

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特養のメリット・デメリット

特養のメリット・デメリット

特養は比較的安価で終身に渡って利用できるメリットがあります。一方で、入居までの待機期間が長く、手厚い医療体制が期待できないなどといったデメリットもあります。
以下で詳しく解説します。

メリット

・費用が比較的安い
・終身に渡って利用可能

特養は費用が比較的安い傾向にあり、さらに終身に渡って利用できるメリットがあります。要介護度や居室タイプなどにもよりますが、月額費用はおよそ6万〜15万円です。
入居できれば終身で利用可能なため、終の棲家として利用できます。ただし、費用の未払いや暴力行為などの問題があると退去を求められる可能性もあるでしょう。

デメリット

・入居までの待機期間が長い
・原則要介護3以上でなければ入居できない
・手厚い医療体制ではない

特養は人気が高く入居希望者が多いため、入居できるまでの待機期間が長くなる傾向があります。また、入居条件が原則要介護3以上と条件の範囲が狭く、要介護度が低いと入居が困難です。
医師は常駐しておらず看護師の配置も手厚くないため、医療ケアがものたりないと感じることもあるでしょう。

老健のメリット・デメリット

老健のメリット・デメリット

老健はリハビリテーションが充実しており、要介護1から入居できるメリットがある一方で、比較的費用が高く、一定期間しか入居できないデメリットがあります。
以下で詳しく解説します。

メリット

・在宅復帰を目指したリハビリテーションが受けられる
・要介護1から入居できる

老健は病院を退院後に自宅に戻れない方などが、在宅復帰を目指したリハビリテーションを受けられます。
老健は要介護1から入居が可能です。施設としての性質が違うものの、特養は原則要介護3以上としています。条件としては特養より入居しやすい施設でしょう。

デメリット

・特養に比べて費用が高め
・入居できる期間が短い

老健のデメリットとしては上記2つが挙げられます。
さまざまな条件により異なりますが、老健の費用は月額6万~17万円程度。特養と比較すると若干高い傾向にあります。
入居できる期間は短く3カ月ごとに入居継続を判断されるため、長期入居を希望する方には不向きといえるでしょう。

特養への入居が向いている人の特徴

・要介護度が3以上の人
・費用をできるだけ抑えたい人
・終身利用できる施設を探している人

特養は介護の必要性が高く、費用を抑えたい人に適しています。
特養の入居条件の原則は要介護3以上であり、終身に渡って利用可能です。また、公的施設であるため比較的費用が安く、あまり予算がない人にも向いているでしょう。

ただし、終身利用が可能ではあるものの、長期入院や迷惑行為などで退去となるケースもゼロではありません。

老健への入居が向いている人の特徴

・リハビリテーションを受けたい人
・在宅復帰を希望している人

老健は在宅復帰を目的とした施設であるため、主に充実した医療ケアやリハビリテーションを受けたい人に適しているといえます。
施設で生涯を終えるつもりがなく家に帰りたいと考えている人であれば、特養ではなく老健が向いています。

特養・老健に関するよくある質問

特養・老健に関するよくある質問

ここでは、特養・老健に関するよくある質問を解説します。

Q.有料老人ホームとの違いは?

有料老人ホームとの大きな違いは運営主体にあります。特養・老健は公的な施設であるのに対して、有料老人ホームは主に民間が運営する施設です。

有料老人ホームは民間が運営しているため、施設ごとにさまざまなこだわりがあります。基準以上の職員配置や、豪華な食事、シアターやカラオケルームなどの設備が充実している施設もあります。

有料老人ホームの費用は、特養・老健に比べると高い傾向です。

Q.特養の入居はなぜ要介護3以上の人に限定される?

特養の入居条件を要介護3以上に限定している理由は、より必要性の高い人を優先させるためです。在宅での生活が困難で、サポートする家族がいない高齢者が入居します。
ただし、要介護1・2の方も在宅での生活が難しいと判断されれば、特例での入居が可能です。

特養と老健の違いを知り、本人に合った施設選びを

特養と老健では入居の目的が異なります。特養は安心して終身で利用でき、老健では効率的に在宅復帰を目指せます。それぞれの特徴を知ることで、ご本人に適した施設を探せるでしょう。

特養も老健も施設によって雰囲気は違うため、入居を決める前には複数の施設への見学がおすすめです。
ぜひご本人に合った老人ホームを見つけてください。

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著者:オアシス介護

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