高い入居一時金を払えない。有料老人ホームはあきらめるしかない?

記事公開日 2022/05/28

記事公開日 2022/05/28

Q.有料老人ホームの入居一時金は数千万もかかるんですか?とても払えません。
病気が原因で義父の要介護度が3となりました。自宅での介護が難しいため施設への入居を考えていますが、有料老人ホームの入居一時金は高額らしく……。
ウチには何百万も何千万円も払えるだけのお金がありません。あきらめるしかないのでしょうか?
(相談者:息子の嫁・59歳)

入居一時金0円の有料老人ホームもある

有料老人ホームへ入居するためには、確かにまとまったお金が必要になることは多くなります。
施設によっては一千万、一億円を超えることもありますから、金額を聞いただけでびっくりしてしまい、「入居は難しい」との印象を持ってしまうかもしれません。

しかし実際には、複数の料金プランが提示されていることがあり、入居一時金が0円という施設も決して少なくありません。
このような施設であれば、現時点で手元にまとまったお金がなくても、検討対象にできるのではないでしょうか。

入居一時金が低額な場合の注意点

ただし、入居一時金の負担が低いプランを用意している施設では、月額費用が高くなるため、注意が必要です。

有料老人ホームの入居一時金には、家賃をある程度まとめて前払いするという意味があります。
一定程度の金額を「前払い家賃」として入居時に支払っておくことで、入居期間中の家賃負担を下げることができるのです。つまり、入居一時金の負担が少ない場合には、そのぶん月々の家賃負担が大きくなることになります。

家賃の支払い方法には、全額入居時に支払う「前払い方式」、その月の家賃を毎月支払う「月払い方式」、一部は入居時にまとめて支払い残りを月々支払う「併用方式」があります。

月々の家賃が10万円で3年間住み、合計金額が360万円だと仮定した場合、支払い方法のイメージは以下です。

前払い方式 入居時360万円+月々合計0円(月0円)=360万円
併用方式 入居時180万円+月々合計180万円(月5万円)=360万円
月払い方式 入居時0万円+月々合計360万円(月10万円)=360万円

ざっくりとしたイメージとなりますが、この特性を理解して老人ホームの料金プランをチェックするといいでしょう。

月々の支払額が増えても初期費用を軽減したい方であれば、入居一時金が低額もしくは0円の施設が選択肢となります。
ただし、老人ホームに居住した年数によっては、低額な入居一時金のほうが合算の金額が高くなることもあるので注意してください。

有料老人ホームは高い?

特別養護老人ホーム(特養)などに比べると、有料老人ホームは割高な傾向です。
その理由は、まず公的施設か民間施設かの違いでしょう。特養は公的な施設のため、所得による軽減制度があるなど、本当に困っている方の受け皿としての役割があります。

一方、有料老人ホームは民間が運営する施設です。民間であれば、利益を出して安定した運営を続ける必要があります。そのためには、ぞれぞれの施設が工夫を凝らして入居者を集め、倒産などの最悪な事態を防がなくてはなりません。

たとえば広い居室がある、プールなどの豪華な設備がある、有名シェフが監修した食事を提供するなど、高級志向のサービスを提供する有料老人ホームも少なくありません。

また、立地のよい都心の駅前などであれば、土地の価格も費用に反映されます。サービスや周辺環境が充実していれば、それに比例して利用金額は高くなるのです。
ただし、特に地方圏では割安な有料老人ホームも多いので、一概にすべての有料老人ホームが高額なわけではありません。

有料老人ホーム以外も選択肢に

実は、有料老人ホームには主に2種類あります。相談者のお義父さまの場合は要介護3なので、施設スタッフによる介護サービスの提供があり介護費用が定額の、介護付き有料老人ホームが第一候補として考えられます。

住宅型有料老人ホームは外部の事業所から介護サービスを受け、利用したぶんの介護費用を支払う必要があります。
どちらのタイプでも入居一時金0円の設定をしている施設はあるので、初期費用を抑えることは可能です。

また、有料老人ホームにこだわらないという方法もあります。
要介護度が3であれば、公的施設である特別養護老人ホーム への入居資格を満たしています。特養は人気があるためすぐに入居できない可能性もありますが、初期費用がかからないので申し込みをしてみるのもよいでしょう。

数は多くありませんが、特定施設入居者生活介護の指定を受けたサービス付き高齢者向け住宅(サ高住) もあります。このようなサ高住であれば、介護付き有料老人ホームと同じような介護サービスを受けることが可能です。

入居型の施設種類は意外と多く、サービスの内容もまちまちです。
できれば費用面だけでなく、それぞれの施設種類にはどんな特徴があるのかを整理し、入居するご本人やご家族に適した老人ホームを選んでみてはいかがでしょうか。

著者:オアシス介護

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