老人ホームの浴室はどんな感じ?入浴にルールはある?

記事公開日 2022/05/28

記事公開日 2022/05/28

老人ホームでの生活は不明な点が多いかもしれません。特に入浴は要介護度が重ければ簡単ではないため、「お風呂」は疑問が生じやすい項目のひとつでしょう。週に何回入浴できるのか、どのような方法で入浴するのか、どんな浴室なのかなどは、お風呂を楽しみにしている高齢者にとって重要なポイントです。
ここでは、老人ホームにある浴室の種類や入浴できる回数、効果について解説します。

老人ホームの浴室の種類

老人ホームの浴室は大きく分けて4種類あります。

大浴場

「大浴場」は、銭湯のようなイメージです。老人ホームの大浴場の場合、一般的な銭湯よりも手すりが多く取り付けられていたり、滑りにくい素材を使った床にしてあったりと、高齢者に優しいつくりになっています。

数は少ないですが温泉を楽しめたり、浴槽にジャグジーが付いている施設もあるため、お風呂好きの利用者にはおすすめです。
「裸の付き合い」という言葉があるように、他の利用者と一緒にわいわい入ることができるので、旅行や銭湯のような気分を味わえるでしょう。

個浴

「個浴」は、一般家庭にあるような浴室のタイプです。周りの目を気にせず、自宅のお風呂に入っているような気分で入浴できるのが個浴のメリットといえます。大浴場のようなお風呂が苦手な人や、他人に身体を見られたくない人にもおすすめです。

1人で入浴できる人はもちろん、歩行や洗身に介助を必要とする人でも入ることができます。介助者が一緒に入りやすいよう洗い場が広くつくられているのが特徴です。

機械浴

「機械浴」は、要介護度が高い人でも安心して入浴できます。機械浴には、寝たまま入浴するストレッチャー型、座ったまま入浴する車椅子型、高齢者を昇降させるリフト型があります。

ストレッチャー型は寝たままの状態で身体や髪を洗い、負担が少なく入浴ができます。寝たきりの人でも肩までお湯に浸かることができるので、しっかり温まることができます。

車椅子型は、座位は保てるけれど歩くことができない、または、歩行に不安がある人が利用するものです。椅子に座ったまま洗髪や洗身を行い、車輪のついた椅子ごと機械浴槽に入ります。利用者の身体の大きさに合わせて湯量を調節できるので、肩までお湯に浸かることができます。

リフト型は座った状態で昇降できるものやつり具でつり上げて移動するタイプなどがあります。

機械浴があれば、車椅子の人や寝たきりの人も安心して入浴ができるでしょう。

浴室付き居室

「浴室付き居室」は、老人ホームの部屋に浴室が備え付けられているタイプです。

一般的な施設の入浴の場合、「お風呂は〇曜日」であったり、「お風呂は〇時から〇時まで」であったりと、曜日や時間の縛りがあります。

しかし、浴室付きの居室なら自由度が高く、いつでも好きなときに入浴ができるのです。公益社団法人全国有料老人ホーム協会の調査によると、介護付き有料老人ホームのおよそ8.6%、住宅型有料老人ホームの5.5%、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の29.7%に浴室付き居室があります。

割合としては決して多くはありませんが、自分のタイミングで入浴したい人はこれらの施設を探してみるとよいでしょう。

入浴回数は決まってる?

特別養護老人ホーム(特養)や、介護付き有料老人ホーム、軽費老人ホームなどの特定施設では、入浴もしくは清拭(せいしき:身体を拭くこと)を週2回以上行うという決まりがあります。そのため、多くの老人ホームが最低基準である週2回の入浴を実施しています。

しかし、「もっとお風呂に入りたい」という高齢者も多いものです。その場合は、週3回以上入浴ができる施設を探してみるとよいでしょう。最初から週3回の入浴を予定している施設や、3回目からは追加料金で対応する施設など実施方法はさまざまです。

高齢者の入浴効果

高齢者の入浴には、さまざまな効果があります。

身体を清潔に保てる

高齢者は、肌の弱い人が多いといわれています。特に、オムツを着用している人や拘縮(こうしゅく:関節まわりの皮膚や筋肉が硬くなり動きが悪くなること)している人は、皮膚状態が悪化しやすい傾向にあるので注意が必要です。

また、清潔を保つことは皮膚の状態だけでなく精神状態にも影響します。なぜなら、不潔にしていると周囲の人との付き合いも億劫に感じてしまうことがあるからです。人間らしい生活を送るためには、清潔を保持することがとても重要なのです。

リラックス効果がある

自律神経の働きによってリラックス効果がもたらされます。そのため、リラックスしたい時や気分転換を図りたい時に入浴すれば、その効果が得られるでしょう。
入浴による程よい疲労感が安眠につながる効果にも期待がもてます。

疲労回復の効果がある

入浴には内臓機能の働きを助ける効果もあります。血行が良くなると新陳代謝が高まり、身体にたまった老廃物や疲労物質を取り除くといわれています。

入浴後、疲労が回復していたり身体のコリや痛みが和らぐのは、このためです。

さらに、病気や怪我によって拘縮している人は、「入浴中に可動域を広げるストレッチをするように」と医師に指導を受けることがあります。動かさず硬くなりがちな手足の関節も、入浴中なら動きやすくなるということです。
入浴によって血流が良くなることで痛みも軽減するため、ストレッチもしやすくなります。

まとめ

お風呂好きな人が老人ホームを選ぶ際は、その施設にどのような浴室があるのか、週に何回入浴できるのかなどを基準に検討するのもよいでしょう。

ただし、今は元気な人でも、将来介護を必要とする日が来るかもしれません。そのため、介護度が上がった場合はどのような入浴方法になるのかなど、先のことまで考えて老人ホームを選択するのがポイントです。

著者:オアシス介護

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