介護療養型医療施設(療養病床)とは?入居条件や費用などを解説

記事公開日 2023/02/27

記事公開日 2023/02/27

介護療養型医療施設とは

介護療養型医療施設とはどのような施設なのか。ここでは提供されるサービスや入居条件、費用などについて詳しく解説します。介護療養型医療施設に入居するメリットやデメリットも紹介するので、ぜひ参考にご覧ください。

介護療養型医療施設(療養病床)とは?

介護療養型医療施設とは、長期的な療養が必要な要介護者を受け入れる施設です。病院内に併設されていることが多く、主に医療法人によって運営されています。
入居の対象となるのは回復期や慢性期の医学的管理が必要な高齢者で、介護・医療・機能訓練などを提供しています。

しかし、介護療養型医療施設は2024年3月末で廃止され、介護医療院などに転換する予定です。
療養病床には、医療保険を財源とする医療療養病床と介護保険を財源とする介護療養病床がありますが、この2つのすみ分けが困難になったことが課題でした。
どちらの入居者も医療を必要とする度合いなどに大きな差が見られず、「患者の状態に応じた療養病床の再編成」が求められていたことから、介護療養型医療施設の廃止が決定しました。

介護医療院とは?

介護医療院は介護療養型医療施設に代わる施設として創設されました。「長期療養のための医療」と「日常生活上の世話」を提供する施設です。
介護保険施設ではありますが医療法に基づいて医療を提供し、主に地方公共団体や医療法人、社会福祉法人などによって運営されています。

「利用者の尊厳の保持」と「自立支援」を理念に掲げており、介護療養型医療施設にはなかった生活支援サービスやレクリエーションの提供もあります。
長期的な療養をしながらプライバシーの尊重された生活を送れる点が大きな特徴です。

介護療養型医療施設の入居条件

介護療養型医療施設の入居条件

・医学的な管理が必要な方
・要介護1~5の認定を受けた方
・65歳以上の方

介護療養型医療施設に入居するためには、医学的な管理が必要という医師による診断が必要です。入居に際して、主治医の意見書や診断書の提出、面談を求められます。

要介護1~5の認定を受けた65歳以上の方が入居対象ですが、脳血管疾患や関節リウマチなどの特定疾病で要介護認定を受けた40歳以上の方も対象です。

感染症がないこと、病状が安定していることなども入居の条件となります。

老人ホーム相談室LP

介護療養型医療施設のメリット・デメリット

■メリット
・医療体制が整っている
・機能訓練が受けられる
・看取り・ターミナルケアを実施する施設が多い
・入居一時金がかからない
■デメリット
・入居の難易度が高い
・イベント・レクリエーションがない
・生活支援の実施がない
・多床室が多く、プライベートな空間を確保しづらい

介護療養型医療施設の大きなメリットは医療体制が整っていることです。ほとんどの施設が病院に併設されており、身体機能を維持するための機能訓練から終末期のターミナルケアまで幅広くサービスを受けられます。

デメリットは入居の難易度が高いことが挙げられるでしょう。2024年度末での廃止が確定しているため新設はされておらず、介護医療院などへの転換が進んでいます。入居を希望しても数カ月程度の待期期間が必要となる可能性があります。
また療養上の管理や看護を目的としていることから、レクリエーションや生活援助を実施する施設は少ないようです。

介護療養型医療施設で提供されるサービス

療養上の管理・看護
介護サービス
機能訓練
看取り・ターミナルケア

介護療養型医療施設では具体的にどのようなサービスを提供しているのでしょうか。医療ケア以外にもいくつかのサービスを提供しているので、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

療養上の管理・看護

介護療養型医療施設には医師や看護職員が常駐しているため、手厚い医療ケアを受けることができます。日々の医療管理はもちろん、投薬や注射、検査などが必要になった際に施設内で対応してもらえるのは大きなメリットでしょう。
治療に伴う気になる点や不安な点も直接相談できます。

介護サービス

介護療養型医療施設では介護サービスも提供しています。食事・排泄・入浴などの介助に加え、必要に応じて体位変換や移動、服薬の介助など、他の介護保険施設と同じようなサービスを受けられます。
ただし、掃除・洗濯・買い物など生活援助に関するサービスは基本的に提供されないため注意が必要です。

機能訓練

看護師や理学療法士などによる機能訓練を受けられ、入居者が日常生活を送りやすくなるよう病状や身体状況に合わせた動作の改善・維持をサポートしてもらえます。

看取り・ターミナルケア

施設内で看取りやターミナルケアを受けられるため、住み替えなどの心配がいりません。
終末期を穏やかに過ごせるように、医師や看護師などが身体的・精神的なケア、家族のサポートを行ないます。

介護療養型医療施設の費用

介護療養型医療施設の費用

介護療養型医療施設への入居に入居一時金などの初期費用はかかりませんが、月額費用として6万から17万円程度が必要です。

月額費用の内訳は、居住費や食費、水道光熱費などの生活費に加えて、介護サービス費がかかります。介護サービス費は要介護度や居室タイプによって金額が変わり、従来型個室がもっとも安く、ユニット型個室がもっとも高くなっています。

療養型介護療養施設サービス費目安(月額)
療養型介護療養施設サービス費目安(月額)
※自己負担1割、1ヶ月を30日、1単位10円で計算

居室タイプ別の居住費は以下です。

介護療養型医療施設の居住費(月額)
介護療養型医療施設の居住費(月額)
※1ヶ月を30日で計算

食費の目安は1日あたり1,445円。1カ月(30日)で43,350円の計算となります。

介護療養型医療施設には所得によって居住費や食費を軽減できる制度があるので、費用に不安がある方でも入居を検討しやすいでしょう。

介護療養型医療施設の主な人員基準

医師   48対1以上
看護職員 6対1以上
介護職員 6対1以上
薬剤師  150対1以上
理学療法士・作業療法士 適当数
栄養士または管理栄養士 100床の場合1以上
介護支援専門員 1以上(標準100対1)

介護療養型医療施設には介護職員だけでなく、医師や看護職員など医療従事者の配置が義務付けられており、療養中の入居者が安心して過ごせる環境が整っています。
医師は診療・管理・指導・検査などの医療行為を、看護職員は医師の指示による医療処置を担当し、入居者に必要な医療を適切に提供しています。

ユニット型には別途基準が設けられ、介護職員または看護職員を昼間は1ユニットごとに常時1人以上、夜間は2ユニットごとに1人以上の配置が必要です。

介護療養型医療施設は医療ケアに対応した介護施設

介護療養型医療施設は病院に併設されていることも多く、手厚い医療ケアを受けられる介護保険施設です。特別養護老人ホームと異なり医師が常駐しているため、必要に応じて迅速に医療ケアを受けられます。
終末期のターミナルケアにも対応しているため、状態悪化時に住み替えなどの心配がいらないのが大きなメリットでしょう。医療・介護の双方で充実したケアを受けることができます。

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老人ホーム相談室LP

著者:オアシス介護

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