サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?基本情報から有料老人ホームとの違いまで徹底解説

記事公開日 2022/05/28

記事公開日 2022/05/28

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは

高齢者が安心して暮らせる住まいとして、注目が集まるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)。サ高住の入居条件やサービス内容、費用等を他の高齢者施設等と比較しながらご紹介していきます。

サ―ビス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?

サ高住は2011年(平成23年)の「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」改正によってできた住まいの形で、正式名称は「サービス付き高齢者向け住宅」です。「サ付き」と呼ばれることもあります。

安否確認や生活相談などのサービスを受けることができ、自宅のような自由度の高い生活を送れる点が特徴です。
そのため、自力で身の回りのことができる自立もしくは要介護度の低い高齢者を対象とすることが多いですが、住宅によって要介護5まで入居可能です。

サ高住には、自立に近い方が入居できる「一般型」の他に、介護サービスを提供する「介護型」もあります。

サ―ビス付き高齢者向け住宅(サ高住)の種類

一般型
・主なサービスは安否確認と生活相談
・介護サービスの提供はなし(必要な分だけ個別で契約して利用)

介護型
・要介護度別の定額で介護サービスを提供
・介護スタッフは24時間常駐
・機能訓練指導員なども配置

サ高住の多くは一般型です。一般型で介護サービスを利用する場合は、併設された介護サービスもしくは外部の事業所などと必要な分だけ契約します。

一方、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた介護型のサ高住は、要介護度によって定められた定額で介護サービスを受けることができます。
ただし、介護型はサ高住全体の1割にも満たないのが現状です。

サ―ビス付き高齢者向け住宅(サ高住)のサービス内容

サ―ビス付き高齢者向け住宅(サ高住)のサービス内容

安否確認(見守り)
一般型◎ 介護型◎
スタッフが定期的に居室を訪問、またはセンサーなどで見守りを行う

生活相談
一般型◎ 介護型◎
常駐する社会福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)、介護福祉士などが、入居者や家族からの相談を受ける

生活支援
一般型△ 介護型◎
日常生活における家事支援(掃除、洗濯、食事の提供等)を行う

身体介護
一般型△ 介護型◎
排泄、入浴、着替えなど1人では難しい動作をサポートする

リハビリ
一般型△ 介護型◎
身体機能の維持・回復を目的としたリハビリを行う

医療ケア
一般型△ 介護型○
たん吸引や在宅酸素等の医療ケアを行う

レクリエーション
一般型△ 介護型◎
運動機能や認知機能の維持を目的として簡単な運動やクイズ、ゲーム等を行う

看取り
一般型× 介護型△
回復の見込みがない方の身体的・精神的苦痛を緩和し、最期を看取る

一般型のサ高住が最低限提供するサービスは、安否確認と生活相談です。身体介護、リハビリなどは、必要に応じて外部の介護事業者と個別に契約して利用します。
レクリエーションの有無はサ高住により異なるでしょう。

介護型では介護スタッフが常駐するなど、介護付き有料老人ホームと同じような介護サービスを受けることができます。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の入居条件

□年齢が60歳以上
□要支援または要介護の認定を受けた60歳未満

サ高住の入居対象者は、「60歳以上の方、あるいは要介護認定を受けた60歳未満の方」です。一般型は自立もしくは軽度の介護が必要な方、介護型は自立~要介護5の方が入居対象の目安となります。

サ高住によっては、認知症や感染症の有無、自身でできる身の回りの世話の範囲なども問われます。介護型では要介護度が重い方や認知症の方も受け入れ可能ですが、条件は住宅により異なるので確認が必要です。

また、サ高住の多くは賃貸借契約のため連帯保証人が必要になります。
連帯保証人がいない場合は、入居を希望するサ高住に相談するほか、高齢者住宅財団の家賃債務保証制度を検討してみるとよいでしょう。

同居人の入居条件

□入居者の配偶者
□60歳以上の入居者の親族
□要介護・要支援認定を受けている60歳未満の入居者の親族
□特別な理由により同居の必要があると知事が認めた方

サ高住のなかには、居住者との同居が可能な住宅もあります。
同居者としての主な条件は、居住者の配偶者であること(事実婚関係でも可能な場合がある)、60歳以上で居住者の親族であること、要介護・要支援認定を受けた親族であることです。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)でかかる費用相場

サ高住への入居には、初期費用と月額費用が必要になります。

サ高住の多くは賃貸借契約です。有料老人ホームのような高額な入居一時金は必要とせず、初期費用でかかるのは賃料数カ月分相当の敷金等のみのため、入居時の費用は比較的安い傾向です。

ただし、家賃をある程度まとめて前払いする必要のあるサ高住もあります。
入居時の経済状況や今後の人生プランを考慮したうえで、払える初期費用を確認しておきましょう。

一般型の費用相場

初期費用
相場:15万〜50万円程度
内訳:礼金や更新料等は不要、敷金は賃料の数カ月分
※保証金が必要な施設もあるが、意味合いは敷金と同様

月額費用
相場:10万~30万円程度
内訳:家賃、管理費・共益費、光熱費、食費、サービス費など

一般型の初期費用に関しては、賃料数カ月分の敷金を支払うだけのサ高住が多いので、初期費用の金額負担は少なく済みます。

ただし、介護サービス費は利用量によって負担額が介護型を超えてしまうこともあるので注意しましょう。

介護型の費用相場

初期費用
相場:数十万〜数千万円程度
内訳:施設によって入居一時金等の前払いが必要

月額費用
相場:15万〜40万円程度
内訳:家賃、管理費・共益費、光熱費、食費、介護サービス費など含む

介護型のなかには入居一時金のかかるサ高住もあります。
24時間の介護サービスがあるなどサービスや職員数が充実しているため、月額費用は一般型よりも高額になることが多いでしょう。

【比較】サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と有料老人ホーム

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と有料老人ホームの比較

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)※一般型
入居条件:60歳以上、要支援・要介護認定を受けた60歳未満
初期費用:15万〜50万円程度
月額費用:10万~30万円程度
サービス:安否確認、生活相談など

介護付き有料老人ホーム
入居条件:自立、要支援1~要介護5
入居一時金:0~数千万円程度
月額費用:15万~30万円程度
サービス:介護サービス、生活支援、リハビリ、健康管理、レクリエーション、食事提供など

住宅型有料老人ホーム
入居条件:自立、要支援1~要介護5
入居一時金:0~数千万円程度
月額費用:15万~30万円程度
サービス:生活支援、健康管理、レクリエーション、食事提供など

サ高住と有料老人ホームは、両者とも高齢者や要介護者などを対象とした施設ですが、入居条件やサービスには違いがあります。サ高住と有料老人ホームの違いを見ていきましょう。

サ高住と介護付き有料老人ホームの比較

メリット
サ高住
・本人の状態に合わせて外部の介護サービスを利用できる
・介護度が低ければ費用を抑えられる
・初期費用での金銭的負担が少ない
・契約は住み替えしやすい賃貸借契約
・自分のペースで暮らせる

介護付き有料老人ホーム
・24時間の介護サービス提供がある
・介護サービス費は要介護度により定額
・契約は終身利用できる利用権方式
・入居者同士の交流機会が多い

デメリット
サ高住
・介護サービスの利用頻度により費用が高くなる
・介護度が重くなると退去を迫られる可能性がある
・入居者同士の交流機会は少ない

介護付き有料老人ホーム
・初期費用が高額になりやすい
・食事や入浴などのタイムスケジュールがある程度決まっている

比較的自立した高齢者を対象とするサ高住と違い、介護付き有料老人ホームは何らかの介護を必要とする方が介護サービスや生活支援を受けながら暮らせる施設です。

介護付き有料老人ホームは介護サービス費が一定(介護度・負担割合により金額は異なる)なため、追加料金などを気にせずにサービスを受けることができます。
ただ、あまり介護サービスを必要としないのであれば、必要な分だけ契約するサ高住の方が料金を抑えられるでしょう。

また、サ高住は初期費用の負担が軽いですが、利用権方式の介護付き有料老人ホームは入居一時金が高額になる傾向です。

サ高住と住宅型有料老人ホームの比較

メリット
サ高住
・本人の状態に合わせて外部の介護サービスを利用できる
・介護度が低ければ費用を抑えられる
・初期費用での金銭的負担が少ない
・契約は住み替えしやすい賃貸借契約
・自分のペースで暮らせる

住宅型有料老人ホーム
・本人の状態に合わせて外部の介護サービスを利用できる
・介護度が低ければ費用を抑えられる
・契約は終身利用できる利用権方式
・入居者同士の交流機会が多い

デメリット
サ高住
・介護サービスの利用頻度により費用が高くなる
・介護度が重くなると退去を迫られる可能性がある
・入居者同士の交流機会は少ない

住宅型有料老人ホーム
・初期費用が高額になりやすい
・介護サービスの利用頻度により費用が高くなる
・介護度が重くなると退去を迫られる可能性がある
・食事や入浴などのタイムスケジュールがある程度決まっている

サ高住と住宅型有料老人ホームの大きな違いは契約形態です。サ高住はアパートなどと同じ賃貸借契約なので住み替えがしやすく、住宅型有料老人ホームは終身利用できる利用権方式となります。
利用権方式の住宅型有料老人ホームは、初期費用の入居一時金が高額になる傾向です。

また、介護サービスはどちらも外部の事業者と契約するという点は共通しているものの、住宅型有料老人ホームは介護度が重くなっても生活を続けやすいという違いがあります。

入居者同士の交流機会の量にも差があります。レクリエーションはサ高住の方が少ないことが多いでしょう。
とはいえ、交流機会の量や介護度が重くなった場合の対応は施設により異なるので、事前の確認が必要です。

老人ホーム相談室LP

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)選びのポイント

毎日過ごす場所だからこそ、施設や高齢者住宅選びは失敗したくないですよね。ここでは、サ高住を選ぶ際に比較したいポイントをご紹介します。

なお、気になるサ高住が見つかったら、入居を決める前に必ず見学しましょう。

立地

交通機関や医療機関、公共施設、商業施設など、日常生活を送るうえで不自由がない立地かを確認しましょう。
サ高住で自立した生活を送るなら、周辺環境は本人にとって非常に大切です。

地図上での確認はもちろん、施設見学をする際に周辺の雰囲気や治安も併せて確認しておくとよいでしょう。

費用

必要な初期費用と、毎月の生活に関わる基本料金、さらに個別に契約する介護保険サービス費をシミュレーションしてみましょう。

また、多くのサ高住は賃貸借契約です。初期費用があまりかからない分、お得に感じるかもしれませんが、将来的に要介護度が高くなることの想定も大事です。

どのくらいの期間をサ高住で生活するのか、有料老人ホームや特養などへの住み替えはないかも想定しておくとよいでしょう。
住み替えなどにより、トータルの費用が高くなってしまうおそれもあります。

サービス内容

入居にあたり、希望するサービスを受けられるか、事前に確認しておきましょう。
どのサ高住でも安否確認と生活相談のサービスはありますが、それ以外のサービス内容に決まりはありません。

食事の提供やレクリエーション、生活支援の程度はさまざまなので、必要なサービスはリストアップしておくとよいでしょう。

要介護度や認知症が進行した場合の対応も確認しておくと安心です。見守り体制を気にするならスタッフ24時間配置のサ高住を選びましょう。

設備

サ高住の居室は、床面積が原則25㎡以上(十分な広さのある共用設備がある場合は18㎡以上)あり、バリアフリー環境であることが定められています。

また、各居室には必ずトイレと洗面設備があります。キッチンや浴室、収納がついたサ高住もあるので、必要に応じて選ぶとよいでしょう。
その他、共用スペースの広さや移動のしやすさ、共用の浴室などもチェックしたいポイントです。

設備を確認するなら見学は必須です。できれば入居する本人が実際に確認しておくことをおすすめします。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で安心かつ自由な生活を

ひとえにサ高住と言っても、住宅によって立地や間取り、サービス内容はさまざまです。
ご紹介した内容をもとに、より快適に過ごせるサ高住を見つけてくださいね。

オアシス介護では、全国各地の有料老人ホーム・介護施設情報を多数掲載しています。サ高住も都道府県や入居時・月額の費用で絞り込んで検索できるので、ぜひお気軽にご覧ください。

老人ホーム相談室LP

著者:オアシス介護

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