介護老人保健施設(老健)とは

介護老人保健施設はよく略して老健と呼ばれ、他の介護施設とは違う特徴があります。
特別養護老人ホームや有料老人ホームのように、何十年にも渡って入居することはできませんが、介護老人保健施設ならではの役割があります。どのような役割があり、どのような方が入居できるのか、またメリット・デメリットなどに関して、順を追って見ていきましょう。

介護老人保健施設の入居条件

介護老人保健施設に入居を希望する場合、誰でも無条件で入れるわけではありません。
介護老人保健施設は、まだ自宅に戻れる状態ではない退院直後などの方が、在宅復帰を目指すための施設です。
そのため入居できるのは、抱えている病気の症状が安定していて、自立を目指した医療ケアやリハビリテーションを求めている方に限られます。

また、入居をするためには、年齢や要介護度などの条件を満たす必要があります。施設の入居対象者は、原則として要介護1~5で年齢が65歳以上の高齢者です。
しかし、一定の条件を満たすと例外として65歳未満の方でも入居することが可能になります。例外として認められるのは、特定疾病を持つ40歳以上65歳未満。介護保険の被保険者で、要介護1~5の認定を受けていることが必要です。

特定疾病とは、ガン、骨折を伴う骨粗鬆症、筋萎縮性側索硬化症、脳血管疾患など、16の病気を意味します。65歳未満であっても、これらの病気によって要介護状態にあると認められれば、介護老人保健施設の入所対象になります。
また認知症も特定疾患に含まれるので、65歳未満であっても要介護状態であれば入居可能です。

ここまでで説明したとおり、介護老人保健施設では「要介護」の方は入居できますが、「要支援」の方は入居することができません。
よく混同してしまいがちですが、このふたつはわけて考えられることが多いのです。
要支援は比較的健康な状態であり、要介護ではより手助けが必要な状態になります。よく介護サービスを受けるときでも、要支援だと「介護予防」としてサービスが提供されることからもわかります。

入居を希望される場合は最寄りの役所、もしくは気になる施設に問い合わせてみましょう。

介護老人保健施設の特徴

介護老人保健施設は、介護を必要とする高齢者が在宅復帰を目指すための施設です。
「終の棲家」といわれる特別養護老人ホームなどとは違い、入所はあくまでも一時的。老人ホームと病院のそれぞれの要素が入ったような高齢者向け居住施設といえます。

病院からの退院後など、自宅に帰りたくても帰れる身体状態ではない高齢者も多く、その需要から施設数も増えています。厚生労働省によると、2016年10月における介護老人保健施設の件数は全国で4,241ヶ所。前年に比べ52施設増えました。

施設内では、食事介助、排泄介助、入浴介助などの日常生活の介護、それに看護、医療、リハビリテーション、レクリエーションなどの日常生活に必要なサービスを提供しています。
住み慣れた地域で自立して生活を継続していくために、地域と密着した包括的ケアの核となる役割を担う施設です。

医療ケアやリハビリテーションが充実

介護老人保健施設で特徴的なのは、医療面でのサポートがあることです。
そのため、管理者になれるのは都道府県知事の承認を受けている医師のみで、医師免許を持っていなければ管理者にはなれません。
同じ高齢者向け施設である、有料老人ホームや特別養護老人ホームなどの管理者にはそのような条件がないことからも、介護老人保健施設の特徴が見えてきます。

また、施設内でのリハビリテーションは専門家である理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が担当します。入居者の症状に合わせた多角的、包括的できめ細かな機能訓練計画によって、体力や基本的な身体能力の向上が期待できます。そうすることで、早期の在宅復帰が可能になるのです。

入居期間が限定的

介護老人保健施設の入居期間は原則として3カ月~6カ月と短く限定的です。
早期の在宅復帰を目指すことが施設の存在意義のため、入居すれば看取りのときまで暮らすことができる特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームとはまったく違った性質があります。

3カ月ごとに自宅へ帰れる身体状態なのかの確認が行われ、問題ないと判断された場合には退去しなければなりません。ですが、それはあくまでも「回復した」と判断された場合なので、まだ在宅復帰できる身体状態でなければ、そのまま入居が継続されます。
平均的な入居期間はおよそ3~12カ月ですが、実態としては数年の長期に渡って入居する高齢者も多く、看取りを行なう施設もあります。

介護老人保健施設は入居者の入れ替わりサイクルが他の施設に比べて早く、本人の状態によっては早期の退所も十分ありえるため、他の施設に比べて在宅復帰率が高いといえます。そのため、老健では入居者の入れ替わりが多いことも特徴のひとつです。

入居可能な期間は原則として短いですが、「病院を退院するけど、まだ一人で暮らすことに不安と抵抗を感じる」「退院後の家族の介護態勢が整っていない」などと不安な方には安心できる施設です。
3カ月の間にリハビリや介護、医療ケアを受け、身体機能と自立した生活を取り戻すことができれば安心して自宅に帰れますし、介護をする家族の準備も整います。または、自宅での介護態勢が整わないのであれば、その期間で他の老人ホームを探すことも可能です。

認知症リハビリをする施設もある

認知症は、日常生活を送る上でさまざまな不都合が生じることもあり、場合によっては自宅での療養・介護も困難になります。
認知症を抱える方、そのご家族の強いニーズにより、2006年4月から軽度の認知症リハビリに特化した「認知症短期リハビリテーション」がスタートしました。そして、2009年からは軽度の方だけでなく、中度・重度の認知症であってもサービスを受けられるようになりました。

このように近年では、介護老人保健施設のなかでも認知症を持つ方に対応している施設が増加傾向にあります。ですが、すべての施設で対応しているわけではないので確認が必要です。
また、認知症短期集中リハビリテーションを受けるためには条件があるので、各施設に問い合わせてみるとよいでしょう。

介護老人保健施設で受けられる介護・医療サービス

老健の介護サービス

施設内で提供される介護サービスとして、身体介護、または生活支援を受けることができます。

具体的には、入浴介助や清拭、トイレへの付き添い、オムツ交換、それと健康面に気をつけた朝昼晩3度の食事での必要に応じた食事介助などです。また、使用するベッドのシーツ交換や清掃など、生活するために必要な援助が提供されます。
歌や体操、各種レクリエーションなどを提供する場合もあります。

老健の医療サービス

介護老人保健施設は、高齢者向け施設の中でも医療ケアに注力している特殊な存在です。
厚生労働省の資料によると、介護老人保健施設全体の約75%は運営母体が「医療法人」。同じ法人が運営する病院や、施設に併設する病院で医療ケアを提供するケースが多い傾向にあります。

基本的に施設内に医師が常駐しているため、入居者に対して診断、診療、投薬を行います。また、医師には看護、介護、リハビリに関しても、個人個人に合わせた適切なアドバイスをする役割があります。

2017年の公益社団法人 全国老人保健施設協会による報告では、管理者である医師の専門でもっとも多いのは内科で、半数を占めています。次に、脳神経、外科(整形・形成外科を除く)が約2割、残りの精神科、リハビリ科、皮膚科などは、それぞれ1割未満です。
「医師」といっても、その専門はさまざまなことがわかります。

「往診をお願いしている診療科」では歯科がもっとも多く約4割。定期的にチェックをしてもらえれば、加齢と共に不具合が生じやすくなる口腔ケアの面でも安心です。
必要に応じて、皮膚科や眼科、泌尿器科などさまざまな診療科も往診をしています。

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの機能訓練士や、看護師を配置しなくてはならない基準があるので、専門知識に裏づけされたリハビリテーションや日々の健康管理の面でも安心感があります。

この他の特徴的な医療的ケアとして、認知症短期集中リハビリテーションが挙げられます。 公益社団法人 全国老人保健施設協会の調査では、心の健康状態を維持することによってADL改善の効果があったとのことです。このリハビリは、厚生労働省の大臣が中心となった認知症に関するプロジェクトの報告書でも、認知症に対して効果的だと認められました。

介護老人保健施設の運営基準

老健の人員基準

介護老人保健施設には、どの職種がどの割合の人数で必要なのかの人員基準があります。 それぞれを見ていきましょう。

●医師

介護老人保健施設の人員配置には医師基準があります。入所者100人に対して必ず1人以上の医師を常駐させ、施設を利用する方への医療行為、健康管理を行います。また、何かあった場合にも対応ができるように法律で義務づけられています。
医師の常駐が義務付けられていない特別養護老人ホームと比べて、入所者一人ひとりの細かい健康状態の把握、管理が可能です。

●看護・介護職員

看護・介護職員の配置数は、入所者3人に対して職員1人以上。看護職員と介護職員の総数は、合計職員数が7人だった場合、看護職員が2人、介護職員が5人程度の配分が標準とされています。

●理学療法士・作業療法士・言語聴覚士

リハビリを担当する理学療法士、作業療法士もしくは言語聴覚士は、入所者100人に対して1人以上が常勤で勤務することになっています。
機能訓練のスペシャリストであるこの職種は、利用者の状態評価、リハビリ計画作成、リハビリの実行、生活を送る上で不可欠な機能の向上のための指導をします。

理学療養士はスポーツトレーナーとマッサージ師のような存在で、主に身体的、運動機能回復を支援します。作業療法士は日常生活において頻繁に行われる動作、作業のトレーニング、メンタル面、精神、心理面でのサポートの担当です。
そして言語聴覚士は言語的、聴覚的など複数の角度から、会話をするために必要な機能を維持・向上させるサポートを、2・3人の小グループや個別に行います。

●その他

その他には、入居者やその家族の相談にのってくれる支援相談員、入居者の介護計画を立てる介護支援専門員(ケアマネジャー)、利用者の健康に直結する食事の管理指導を行う栄養士、実際においしく健康的に料理を作る調理師、それに事務員、薬剤師などが働き、それぞれが必要な役割を担っています。

老健の設備基準

介護老人保健施設では、厚生労働省の定める設備の設置が必要不可欠です。
どこの施設でも共通で設置される設備として、療養室、診察室、リハビリを行う機能訓練室があります。

また、居住者同士や家族などとの会話を楽しむ談話室、食堂、浴室、洗面所、トイレなどの日常生活に必要不可欠な設備や、レクレーションルームがあります。さらにサービスステーション、料理を作るための調理室、洗濯室、汚物処理室が必要です。
これらの設備がない施設の運営は承認されませんが、併設する病院の設備を利用できるなどあれば、なくてもよいことになっています。

他にも、入所者には自立歩行が困難な方も多いので、階段には手すりを設置し、廊下の幅は車椅子同士がすれ違えたり回転できるように1.8メートル以上にすること、またスプリンクラーの設置などが決められています。

このような介護施設で生活を送る方は気分転換が難しく、気持ち的に落ち着かないことも多々あります。そのため、安らぎの空間として施設の周辺や屋上に植栽を行う施設もあり、いずれも利用者がストレスを感じることなく快適に滞在期間中の生活を過ごせるようにとの配慮です。

施設に関する情報は重要事項説明書という書類に記載されています。掲載内容に決まりがないため施設によって異なりますが、人員配置や設備などについて明記されているので、契約をする前に必ずチェックすることをおススメします。

介護老人保健施設の居室タイプ

介護老人保健施設に入居した場合に、居室のタイプは4種類です。

●従来型個室

ひとつ目は、従来型個室と呼ばれるひとつの部屋を完全に一人で利用するタイプです。プライバシーが守られるので、他の入所者に気を遣う必要もなく精神的な面では楽といえます。
衣類などの生活に必要な持ち物の保管場所としてタンスなどが設置されています。ナースコールもあるので、何かある場合はすぐに駆けつけてくれて安心です。

●多床室

ふたつ目の居室は、いわゆる大部屋タイプの居室で、ひとつの部屋の中でベッドが複数設置されています。数名の入所者がひとつの空間で同居し、多床室と呼ばれています。
一般的に多床室は4人部屋の場合が多く、従来型個室に比べてプライベートの確保が難しい分、個室に比べて部屋の利用料金も割安です。

ベッド間をカーテンで仕切るので、最低限のプライベートは確保されますが、テレビの音漏れや、咳払い、動作をする際に出てしまう音などが漏れることは避けられません。
気になる方は、個室がある介護老人保健施設を探してみるとよいでしょう。

●ユニット型個室

3つ目のタイプは、入所者を10名程度の単位でひとつの小グループに分けたユニット型個室と呼ばれるタイプです。キッチン、トイレ、リビングなどを共有して使用しますが、居室に関しては1人が1部屋を使用し、部屋面積は10.65㎡以上と定められています。

ひとつのグループにつき1名以上の施設職員が専任で担当するため、100人規模の共同生活を送るよりも、友人、家族のようなアットホームな雰囲気の中で過ごすことができます。ですが、料金は4つの居室の中では一番高額です。

●ユニット型個室的多床室

4つ目の居室タイプは、ユニット型個室的多床室です。以前は、ユニット型準個室と呼ばれていましたが、実態に沿った名称に変更となりました。
ユニット型個室と同じく10名程度のひとつのグループで台所や食堂などを共有して生活します。ユニット型個室との違いは、もともと大部屋タイプだった部屋を壁で仕切るだけなので、完全なる個室ではありません。

介護老人保健施設のメリット・デメリット

老健のメリット(利点)

医療ケア、リハビリを受けられる

自宅での生活が厳しい高齢者にとって、在宅復帰できる身体状態にしてくれる介護老人保健施設はありがたい存在でしょう。
できるだけ早く在宅復帰できるように、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士などが施設に常駐し、濃密で効果的なリハビリが受けられます。入所期間中は必要に応じて日常生活の介護も行われます。

利用者の身体的、精神的な能力維持、または向上させる上で、実際にリハビリを行う機能訓練室の設備も充分です。入所者は最低でも週に2回程度のリハビリを受けます。
自分の力では起き上がることさえ困難な寝たきり状態の方に対しても、介護老人保健施設では個人に合わせたリハビリ計画が立案されます。しかし、寝たきり状態から自宅で自立した生活を送るまでには時間を要すため、長期入所になってしまう可能性もあるでしょう。

介護老人保健施設では、リハビリのエキスパートたちが医師のアドバイスの下でリハビリを提供するため、重い症状の方であっても希望を持ってリハビリにはげみやすい環境です。
医師が常駐し、病院を併設している施設も多いので、医療面でのケアが非常に強いことも大きなメリットになります。

家族は自宅への受け入れ態勢を整える時間ができる

退院後にすぐに自宅で暮らせる身体状態ではない場合、本人がリハビリによって機能を回復している期間に、家族は受け入れ態勢を整えることができます。

自宅の段差をなくす、手すりを設置する、お風呂やトイレを使いやすく介護リフォームしたり、何かしらの家庭の事情で一緒に暮らすことが難しいのであれば、有料老人ホームなどを探すこともできます。急いで探すと後悔の元になるため、最低3カ月という期間があればいくつかの老人ホームをみつくろうことも可能です。
家族にとっては、準備期間ができるというメリットになります。

老健のデメリット(問題点)

入居期間が短い

介護サービス、医療ケア、そして専門的なリハビリを受けられると聞くと良いことだらけに思えますが、人によっては入居期間に関してデメリットを感じることがあるかもしれません。
入居期間は原則として3カ月間で、3カ月ごとに入所者が在宅復帰可能かの判断が下されます。在宅復帰可能となれば、速やかに退所する必要があります。
自宅で待つ家族の受け入れ態勢も整っていなければならないため、自宅で待つ家族には早めの準備が求められます。

介護保健と医療保険は同時に使えない

介護保険施設である介護老人保健施設では、利用者に必要な医療行為は介護保険で給付されることになります。
ここで、ひとつ注意が必要な点があります。介護老人保健施設に入居中は、介護保健と医療保険を同時に使うことができません。

つまり、基本的には常駐している医師から医療行為を受けることができますが、施設内での対処が難しい病状などの場合には、他の病院にかかることになります。
入院の必要があれば、いったん老健を退去してから、医療保険を使って病院に入ります。また入院までいかないものの他病院での受診が必要な場合は、施設側が受診料を全額負担します。

ですが、施設に無断で他の医療機関を受診した場合には、全額自己負担となる可能性があるので注意が必要です。入居期間中は施設の管理下となるため、外泊、外出中に体調不良となった場合にも、まずは施設に連絡をして判断を仰いだほうがよいでしょう。

介護老人保健施設の費用

老健の入居費用・月額費用

民間が運営する有料老人ホームなどと違い、公的な施設である介護老人保健施設は入居一時金のような料金を支払う必要は一切ありません。

毎月必要な費用は、利用する方の要介護度と入居する部屋のタイプによって異なります。目安として、最も安いのは月額約8~10万円の相部屋タイプで、一番高いのはユニット型個室タイプで12~14万円程度です。
十分な医療ケアがある分、同じ公的な施設である特別養護老人ホームに比べると、費用は高めです。

介護老人保健施設の施設サービス費は、医療ケア、リハビリテーション、介護サービスなどを含めた費用なので、住宅型有料老人ホームのような別途訪問介護などをお願いする必要はありません。
口腔衛生管理加算、排せつ支援加算、栄養マネジメント加算、リハビリテーションマネジメント加算、短期集中リハビリテーション実施加算などの加算によって、各施設の費用は前後します。

費用負担の軽減

所得が少ない方、世帯全員が市区町村民税を非課税の方や生活保護を受給されている方は、負担上限額が決められているので費用負担が軽くなります。
お金の面で心配がある方でも安心な仕組みですが、支給を受けるには事前に市区町村に申請が必要です。

介護老人保健施設は、法的根拠が介護保険法であり、施設サービス費に係る自己負担額や個室などの使用料は、医療費控除の対象です。
そしてあまり知られていないのですが、ご家族が介護老人保健施設に入所される場合、条件を満たせば扶養控除を受けることが可能です。
受けられる控除額は扶養者の年齢が70歳以上で48万円、70歳未満だと38万円になるので控除が受けられる方は、税金がお得になります。

公的施設のため民間の高齢者施設と比べると利用料金は安いのですが、そのぶん入居希望者が多く、施設によってはなかなか空きがないこともあります。
他の施設種類と比べて入れ替わりが早いとはいえ、入居までに時間がかかることもあり得るので、早い段階でどこの施設に入りたいかを予めある程度決めておくと、入居への流れがスムーズです。

介護老人保健施設の在宅向けサービス

介護老人保健施設では入所者向けのサービス以外に、在宅で介護を受ける方用のサービスもあります。
大きく分けてふたつのサービス提供があり、ひとつ目は施設に通ってリハビリを行うデイケア(通所リハビリ)、ふたつ目は短期間限定で施設に入所して療養介護を受けられるショートステイ(短期入所療養介護)です。

●デイケア(通所リハビリテーション)

デイケアは宿泊ができない通いのサービスです。思うように動かない部位のリハビリを主に、場合によっては食事や入浴などのサービスが日帰りで提供されます。デイサービスと同様に、施設の職員が利用者の自宅まで送り迎えをします。
自宅で暮らしながらリハビリを希望する高齢者にとっては、ありがたい施設です。

●ショートステイ(短期入所療養介護)

ショートステイは、在宅で介護を受ける高齢者が短い期間だけ宿泊できるサービスです。
家族が冠婚葬祭などで遠方に行かなくてはならなくなったときや、介護の疲れをリフレッシュしたいときなどに利用します。介護者にとって頼もしいサービスです。

この2つのサービスは、介護予防であれば要支援1・2の方であっても、体の自由を取り戻すための機能訓練が受けられるます。
また、認知症を持つ方に向けた「認知症短期集中リハビリテーション」はデイケア、ショートステイでも、入所者の方と同じように利用できます。
これらは、体の不自由な高齢者をサポートしていくための地域の核となることが期待されていますが、施設によっては提供していない場合もあるので、各施設に確認が必要です。

介護老人保健施設を選ぶポイント

介護老人保健施設を選ぶときは、いくつかのポイントを判断基準にするとよいでしょう。

施設の評判は、口コミや実際に利用した人に聞くのが一番ですが、情報の提供元が限られていることから、難しいことも多いでしょう。
介護老人保健施設は病院が運営していることも多くあるため、その病院のスタッフ、サービスの質と、同じようなレベルであると考えられます。運営母体病院の評判であれば、実際に通ったことのある人も老健利用者より多いことから、情報が得やすくなります。
直接的な施設の口コミなどが得られなくても、判断材料のひとつにすることが可能です。

リハビリの専門家や介護スタッフ、看護師がどれくらいの割合で在籍しているのか、在宅復帰率、平均滞在日数など、介護老人保健施設の特徴であるリハビリテーションに関することは、その施設の核の部分ですのでしっかり調べるようにしましょう。

入所者の病気の症状に合わせた的確なリハビリ計画を実行しているかどうかが、在宅復帰率に表れているともいえます。
厚生労働省の資料によると、高い在宅復帰率を誇る施設ほど、理学療法士などのリハビリ専門職員が多く在籍しています。
在宅復帰率30%以上の割合を比較すると、専門職が2人以下の施設では全体のわずか27%程度ですが、専門職5人以上在籍する施設では約72%と、3倍近くなっています。

このことから、数多くある介護老人保健施設の中で、施設ごとの在宅復帰率を見て、その数値が高ければ高いほど、質の高いケアを行っているとおおよその判断することが可能です。
どの施設を選べば良いか迷った時の判断材料になります。

まとめ

介護老人保健施設では、早期の在宅復帰を可能にするために、理学療法士などのリハビリ専門家を配置することが必要不可欠です。
提供するサービスの質を高めるには、人員を増やし、利用者のケアの更なる充実を図る必要があるのですが、経営が苦しくなる施設も増えつつあります。
介護保健という範囲内でサービス提供をする必要があるため、「利益を出す運営」と「質のよいサービス」のバランスは難しいといえます。介護施設全般の課題といえるでしょう。

ですが、人は誰でも年齢からくる体の機能の低下、衰えには勝てず、日常生活を送る上で不便さを感じるようになります。
介護老人保健施設は、入居者に対して医学的、看護的な管理の下で、日常生活上で必要な世話に加えて、介護、リハビリテーション、レクリエーション、さらには医療行為を行ないます。それにより、自立した日常生活を取り戻し、それぞれの入居者が自宅に復帰することを目標にしたサポートを提供する高齢者施設です。

介護老人保健施設は、あくまで在宅復帰を前提に入所する施設です。目標を設定してリハビリにのぞむと、滞在期間中の生活も心身ともに充実しやすくなることでしょう。
どこまでの機能回復をどれくらいの期間で目指すのか、または自宅に戻ったらやりたいことを思い描くことで前向きな姿勢で自宅復帰を目指すことができます。

在宅復帰できると判断されれば退去の必要がありますが、病院からの退院後など、まだ自宅で満足な生活ができない身体状態の方にとっては必要性の高い施設です。
介護施設にはたくさんの種類があり、それぞれ内容や役割が異なります。正しく理解して、状況に適した施設を選ぶようにしましょう。

オアシスナビ×ハートページは、有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・特別養護老人ホームなどの検索をはじめ、
デイサービス・訪問介護・居宅介護支援などの全国の介護施設が検索できる介護のポータルサイトです。
施設検索のほかに、介護に関する情報満載の介護マガジン「介護の知恵袋」なども運営しています。
介護についてお困りの方はぜひ一度「オアシスナビ×ハートページ」をご利用ください。