住宅型有料老人ホームとは

 高齢者人口は伸び続け、有料老人ホームの数は右肩上がりに増え続けています。
2006年には全国に2,104件だった施設数は、2016年時点で11,739件にまで増大。
高齢者介護が社会福祉事業であることはもちろん忘れてはなりませんが、この10年を見ても、以前よりはるかに介護ビジネスは多様性を獲得し洗練されてきたともいえます。

 それは、一人ひとりの健康状態や予算、希望するサービスに合わせた施設を選ぶチャンスがあるということです。早めに情報収集をし、長期的な目線で計画を立てて、後悔のない施設選びにつなげましょう。

 ここでは、有料老人ホームの中でも住宅型有料老人ホームについて取り上げます。
どのような方を対象とした施設なのでしょうか?

住宅型有料老人ホームの入居条件

入居できる年齢は?

 多くの住宅型有料老人ホームでは、入居条件に60歳以上などと年齢制限を設けています。
状況によっては60歳以下でも受け入れ可能なケースもありますから、気になる施設には個別に相談するのがおすすめです。

 一人暮らしに不安を覚える、身辺サービスを受けてのんびり暮らしたいなどの理由で早期の入居を望む方もいますが、一方で、多くの方は介護が必要になってからの入居であり、利用者の平均年齢は80代です。

 世代の違う周囲になじめずに送る共同生活はつらいものですから、タイミングはよく考えましょう。入居時の一時金やトータルの費用も早期入居者の場合高くなりがちなので、費用面でも注意が必要です。

入居できる要介護度・身体状態は?

 自立の方から要介護の方まで、受け入れ条件に一律の規定はありません。

 認知症・疾病を抱えた状態での入居についても、施設ごとの方針により差があります。
外部機関と密に連携してストーマ、胃ろう、気管切開などの医療ケアが必要な入居者に対応するホームがある一方、嘱託医を持たない施設も珍しくありません。

 住宅型有料老人ホームでは、入居の間口は広く、運営スタイルも千差万別なのです。
とはいえやはり全体の傾向として見れば、介護付き有料老人ホームと比較して、健康な方を想定した施設が多いようです。

住宅型有料老人ホームの特徴

 住宅型有料老人ホームの特徴は、一言であらわすと「シンプル」というキーワードといえます。
住宅型有料老人ホームの主な原則は以下になります。

  • ある一定の設備・面積を有している
  • 入居者に食事の提供などの日常生活支援サービスや健康管理をひとつでも提供している
  • 所在地の都道府県知事に届け出を済ませている民間施設

 実際には、業者ごとにさまざまなオプションがありますが、それを取り払うと必要なものはわずか3点、実にシンプルですね。

 つまり医療面、介護サービスについての規定は一切なく、管理者は必要ですが、そのほかの職員の人員に関する基準さえありません。
ちなみに、2007年以降は10人以上とされていた入居者数に関する規定も撤廃され、少人数での運営も可能となりました。

つまり住宅型有料老人ホームとは

 介護のプロがいなくても可、医師や看護師との連携も必要とせず、入居者もごくわずか。このような施設は一般的にイメージする老人ホームとはかけ離れたすがたかもしれません。
もちろんこれは極論で、施設内に介護スタッフが常駐している施設も多く、自宅で過ごすよりははるかに安全・安心な環境が整っています。

 スタッフの人数や専門職の配置に規定がないことを、疑問視する方もいるかもしれません。ですが、前提として入居者が心身ともに健康であれば、家事代行など身の回りの補助だけで不自由なく生活が送れます。

 抑えられたコストはそのままリーズナブルな利用料に反映され、暮らしの余裕にもつながるでしょう。シンプルな土台の上に、入居者それぞれが必要なサービスを積み上げていけるのが、住宅型有料老人ホームの最大のメリットです。

 では、健康状態の悪化や加齢とともに要支援度・要介護度が上がり、施設で提供される以上の介護・医療サービスが必要となった場合はどうすればよいのでしょうか?
これも答えはシンプルで、訪問介護や訪問医などの外部機関から、必要なだけのサービスを受ければ解決します。

 外部サービスの契約などをホーム任せにできない手間はあるものの、自宅にいたころから利用していたデイサービスに通い続けたり、長年信頼しているかかりつけ医に受診したりと、自分で選んだ自由度の高いサービスにつながっています。
住宅型有料老人ホームならではのシンプルな仕組みがなせる業ともいえるでしょう。

住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホームの違い

 有料老人ホームには、同じく民間企業が運営する介護付き有料老人ホームもあります。その名の通り手厚い介護サービスと、医療機関との提携が義務付けられている点が大きな特徴です。

 入居条件や運営方針に一律の規定がなく、施設ごとに業態がさまざまなのはどちらにも共通しています。

 一方、介護付き有料老人ホームにはさまざまな基準を満たす必要があります。
24時間体制で介護サービスを提供すること、日中は看護師あるいは准看護師が常勤し健康管理にあたること、医療機関と連携を取り必要な医療ケアを都度施すこと、規定の人数・専門資格を持つ職員を配置すること、入居者に対し身体機能訓練(広義でのリハビリテーション)を提供することなどがあり、これらは住宅型有料老人ホームには求められていません。

 介護施設の情報を探しているとき「特定施設」というものを見かけたことはないですか?
それは、上記のようなハードルをクリアして、「特定施設入居者生活介護」という指定を受けた施設だけが掲げられる称号なのです。つまり、介護付き有料老人ホームはすべて特定施設となります。

 では住宅型有料老人ホームはというと、住宅型は特定施設としての基準を満たしていないので指定を受けることはできません。
特定施設でないと、「ケア付き」や「介護付き」といった文言をパンフレットなどに記載することも許されていないのです。

 また、住宅型有料老人ホームの場合、訪問介護の利用、デイサービスへの通所に介護保険が適用されますが、介護付き有料老人ホームでは適用されません。

 「特定施設」とは、ホームの満たすべき基準やそれに達している施設を示す文言であると同時に、「特定施設入居者生活介護」という保険区分をも指します。

 施設によって提供される介護サービスを、要介護度に応じた月額料金で利用できるという仕組みですから、外部のサービスは保険の範囲から除外されるというわけです。
介護付き有料老人ホームは、基本的に施設内で完結する行き届いた支援が安心につながるものの、それを維持するべくコストがかさむ傾向にあります。

 介護付き有料老人ホームが幅の広い介護サービスと医療との連携も盛り込んだ、言わば「フルセット商品」とするなら、住宅型有料老人ホームはその時々に買い足してゆく「ばら売り商品」です。
どちらにもメリット・デメリットがあります。

 健康なときには費用を抑えてコンパクトに生活を送り、状況の変化に応じてケアを外注したほうが合理的に感じる方は住宅型有料老人ホーム向きです。
反対に最初から、または最後のために最大限に手厚いケアを望むなら、介護付き有料老人ホームが適しているかもしれません。

住宅型有料老人ホームで介護・医療サービスを受けるには

 ここまで見てきた通り、住宅型有料老人ホームにおいて介護・医療サービスは必須項目ではありません。
介護付き有料老人ホーム並みに行き届いた介護・医療ケアの提供をセールスポイントとする施設もありますが、それはあくまで個別の経営戦略です。

 住宅型有料老人ホームでは、多くの場合で食事の提供や掃除・洗濯の代行などの生活支援がおこなわれています。しかし、これらは広い意味では介護サービスといえますが、入居予定者やご家族が想像するいわゆる「介護」とは少し違いますよね。

 入居当初はホームが提供する身辺サービスのみで生活できていた方も、身体の変化に応じて、食事の手伝いである「食事介助」や入浴のサポートを行う「入浴介助」など、日常のさまざまな場面で他者の力を借りる必要が出てきます。

 そのようなとき、住宅型有料老人ホームの入居者は基本的に外部の介護事業者と利用契約を結ぶことが必要です。
医療サービスに関しても、都度外部の病院や訪問医、訪問看護師によるケアを受けることになります。

 訪問ケアが充実してきた昨今、この仕組みのおかげで住宅型でも介護付きと遜色のない手厚いケアを受けることも可能となってきました。
とはいえ、病気や大きな怪我により要介護度や医療への依存度が大幅に高まった場合、退所を余儀なくされるケースもあることは覚えておきましょう。

 目安として、要介護3までを入居継続の条件として定めるホームも存在しています。 日常生活全般に人の助けを必要とする段階が要介護3であり、そこからさらに身体機能の衰えが著しくなった状態が要介護4です。

 非情な仕組みのようですが、施設側の負担をコントロールするためのリミッターのような取り決めであり、同時に利用者を守るシステムでもあるのです。
なぜなら、施設内で受ける介護サービスのすべてが要介護度に応じた月額の介護保険料で賄われる介護付き有料老人ホームとは異なり、住宅型有料老人ホームでは介護サービスの利用が増えれば増えるほど料金がかさみます。

 さらに、介護保険の自己負担額上限を超えた場合は全額自己負担となりますから、要介護度が高い状態で住宅型有料老人ホームに居住し続けることは、現実的な選択ではないとも言えるからです。

住宅型有料老人ホームでの訪問介護の利用方法と料金

 このように、住宅型有料老人ホームへの入居を選択する場合、将来的に訪問介護を利用するケースが大多数にのぼります。どのような手順で訪問介護の契約を取り交わし、どれくらいの費用がかかるのか、簡単に把握しておきましょう。
老人ホームへの入居を検討する方の多くは、ある程度介護が必要な方が多く、以下の手順に関してはご存知の方も多いかもしれませんが、順序を追って説明します。

 まずは、市区町村へ要介護認定の申請を行い、自立、要支援1~2、要介護1~5のいずれかに該当するという通知を受けるところから始まります。自立であれば、介護保険は利用できません。
続いて、担当のケアマネジャーとの話し合いのもと、本人の希望をくんだ最適なケアプランを作成します。

 そのケアプランに基づいて、訪問介護事業者との契約を交わし、サービスの利用が可能となります。
なお、自宅にいるころから訪問介護を受けており、入居先との距離などの兼ね合いが許すのであれば、なじみの事業者から同様のサービスを継続して受けることも可能です。

 次に気になるのは料金ですね。
訪問介護の利用料は基本的に、「サービスの種別料金×利用時間+その他料金(夜間加算など)」から導き出され、そのうちの自己負担額の割合(1~2割)に応じた金額を支払うこととなります。

 種別料金の設定は地域や事業者によって異なるため、あくまでも目安ですが、20分未満の身体介助ならば自己負担額が1割の場合は、1回につき170円ほど。
30分以上60分未満で400円、60分以上90分未満で580円と、段階的に上がっていきます。

 同じサービスを毎日受けると想定すると、20分未満の介助でも月5,100円がホームの利用料以外にかかる計算です。
要介護度が高くなるほど費用負担にダイレクトな影響が出ることが分かります。
介護があまり必要でない状態であれば、訪問介護の利用は費用が抑えられて小回りがきく一方、要介護度が高くなればその分、介護費用がふくらんでいく恐れもあるわけです。

住宅型有料老人ホームの設備

 開業基準が比較的緩い住宅型有料老人ホームですが、入居者の快適で安全な生活を保障できるよう、一定の設備を整えるよう規定されています。

 まず、入居者全員に対して、おおむね8畳のスペースがある居室を用意すること。その他にも食堂や浴室、洗面所、トイレ、レクリエーションスペースなど、衛生的・文化的に暮らしを営むために種々の設備が求められます。

 経営者の裁量によって、ゴージャスな談話室やカラオケルーム、麻雀卓など、プラスアルファの娯楽施設が用意されていることも。サービス面も含めて、ホテルのようなワンランク上の住空間をうたうホームもありますが、すべては入居金や利用料に反映されます。

 入居予定者の総合的なニーズを見定めて、施設探しを進めましょう。

重要事項説明書からわかること

 入居に際して、入居者とホーム側は種々の書類を取り交わしますが、提示される文書の中でも特に注意が必要となるのが、重要事項説明書です。

 施設の設備やサービスの詳細に関しては、パンフレットなどだけでは分かりにくいこともあり、介護事業者は利用予定者や家族に対して、契約内容や施設概要を分かりやすく説明しなければなりません。
説明書に一律のフォーマットはなく、書式や記載項目は事業者の判断に委ねられています。

 事業目的や運営理念、従業員の構成などを記した、言わばプロフィール紹介と、提供できるサービスの一覧とそれらの利用料金表などのメニューブックに相当する記述の二本柱で成り立つ説明書が一般的です。

 そこに個人情報に関する取り決めや免責事項をまとめた、契約に先立って明らかにすべき項目が加わります。

 書面を交えた説明の際には、少しでも疑問があれば遠慮なく質問を投げかけていきましょう。親身な対応と分かりやすい回答が得られる相手ならば、後々の信頼関係も築きやすいですね。

住宅型有料老人ホームの費用

 高齢者の一人暮らしは、緊急時の対応が遅れる危険をはらみます。また、在宅介護は介護を担う家族の生活が犠牲になる恐れがあります。
施設への入居は核家族化社会において、安全で合理的な判断といってもいいかもしれません。しかし、その選択の前に立ちふさがるのが費用負担の壁です。

 とにかく高額というイメージのついてまわる有料老人ホームですが、実際にはどの程度の予算で入居が可能になるのでしょうか?

住宅型有料老人ホームの費用の特徴

 住宅型有料老人ホームは、運営していくうえでの届け出に求められるハードルが低く、そのぶん経営スタイルも柔軟性に富んでいます。各施設がそれぞれに多様な運営方針をもっているため、その方針によって料金設定も幅広いのが特徴です。
介護・医療体制や設備の充分に整った施設と、ある程度の身辺自立を前提とした家庭的な施設とでは差が出るのも自然なことですね。

 しかし費用の内訳はどの施設も共通しており、入居時に一時金を支払い、月々の利用料が発生します。そして、さまざまなサービスへの対価と、外注した介護費・医療費の自己負担分などが必要となってきます。
順番に見ていきましょう。

住宅型有料老人ホームの入居一時金

 有料老人ホームに入居すると、多くの場合は、生涯にわたってその施設で生活することになります。
入居時にまとめて支払う入居一時金は、言わば永住権を獲得するための申請費用。金額は数十万円から1,000万円を超すものまでまさにピンキリです。

 最近では、利用者のニーズに合わせて入居一時金ゼロ円という施設も増えていますから、まとまった金額を用立てることが難しい場合は検討する価値があります。
しかしながら、入居一時金を支払わない代わりに、月額料金がかさむ傾向にある点は注意が必要です。

 100万円の入居一時金を支払って10年利用したなら、ひと月あたりの居住費は月8,300円程度。入居一時金ゼロ円でも、もし家賃の月払いが1万円ならば、コストは逆転する計算ですね。
やみくもにゼロ円を条件に探すよりは、同規模の施設をいくつか比較して、納得のいくラインを見極めましょう。

住宅型有料老人ホームの月額費用

 入居後は生活費といえる月額利用料が発生します。
食費に管理費、水道光熱費やその他雑費を含み、目安は約10万~25万円とグレードに応じて幅があります。
ちなみに介護付き有料老人ホームはおおよそ12万~40万円かかりますから、基本料金のみで見れば住宅型有料老人ホームのほうが少額で賄えます。

 ただし、介護付き有料老人ホームの入居者が要介護度5になった場合、介護保険の自己負担分は多くても月額24,000円程度(1割負担の場合)で収まる一方、住宅型有料老人ホームは介護サービスを受ければ受けるほど費用がかさむことを忘れてはいけません。

 月額利用料が安く、元気なうちはシンプルにコンパクトに暮らせるという点ではメリットの大きい住宅型有料老人ホームと、負担は大きめだけれどいざという時安心な介護付き有料老人ホーム、どちらも一長一短の特性があることは、十分理解しておきましょう。

介護保険の自己負担額

 住宅型有料老人ホームで支払う介護に関わる費用は、一概にいくら程度とはいえません。なぜなら、基本的に介護サービスは外部の業者との契約によって行われ、利用のたびに料金が発生するからです。

 ここでは参考までに、1日12時間の訪問介護が必要となった1割負担の要介護者のケースを想定してみましょう。
訪問介護の利用料は、「サービスの種別料金×利用時間+その他料金(夜間加算など)」が基本となるので、この計算式で計算してみます。

 90分以上のサービスは30分ごとに約80円が加算されます。「その他料金」を考えずに計算した1日あたりの費用は、概算で2,300円程度。ひと月で69,000円ほどがかかる見込みです。

 リハビリを受けるケースや地域差もあり、あくまで単純計算による目安ですから、入居前の説明の段階で、施設の相談員にさまざまな事態を想定したおおよその費用について質問しておくと見通しが立つでしょう。

 また、月ごとの介護保険の利用限度額を超えた場合は、全額自己負担での支払いとなる点も注意が必要です。

介護保険外サービスの費用

 介護保険以外のサービスにかかる費用として、買い物の代行や移動の付き添い、理美容サービスなどがあります。

 対象となるサービスや料金形態は施設によってさまざまですが、内容については事前に開示されている場合がほとんどです。
もし重要事項説明書に記載がなければ、必ず契約前に確認することをおすすめします。

 ある程度は必要経費と心得て、月々の料金の一部として見積もりましょう。

住宅型有料老人ホームで適用される税金控除

 有料老人ホーム入居者には扶養控除が適用されます。
配偶者以外の親族であり、世帯主と生計をともにする被扶養者の所得額が38万円以下なら、年齢に応じて控除が受けられます。

 70歳以下ならば38万円、70歳以上で48万円が控除の対象額として還付されます。確定申告や年末調整の際には忘れずに申請しましょう。
また、同一世帯であれば医療費控除も家族と一括されますから、早めに済ませておきたい手続きです。

まとめ

 介護付き有料老人ホームと同様にニーズの高い住宅型有料老人ホームについて、ご紹介しました。
医療・介護に関する規定はなく、それだけに高い自由度と低めの基本コストが魅力です。

 情報を見比べて気になる施設には実際に足を運び、ぜひ見学や体験入居の機会を作りましょう。まずは館内を直接見てみることが重要です。
家族の意見も取り入れて、本人が納得できる施設を慎重に選びたいですね。

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