あなたの自己負担は何割?介護保険の負担割合の違いとは

記事公開日 2022/05/28

記事公開日 2022/05/28

介護保険では、サービスを利用するときの自己負担割合が1~3割と決められています。しかし、どんな基準でこの負担割合が決まっているのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
ここでは、介護保険の自己負担割合について詳しく解説します。

介護保険の自己負担割合の違いとは

介護保険は、介護を必要とする人に適切な支援を届けられるよう社会全体で支える制度で、2000年4月にはじまりました。
介護保険サービスの利用で支払うのは、全額ではなく決められた自己負担分のみ。少ない負担でサービスを受けることができる仕組みです。

2019年現在、介護保険の自己負担割合の設定は1~3割。この割合の違いは、介護を受ける本人の所得によるものとなります。

介護保険制度が開始した当時の自己負担割合は、一律で1割でした。その後の制度改正によって、2015年8月からは一定以上の所得のある人が2割負担となり、2018年8月からは現役並みの所得がある人が3割負担に変更となりました。

1割と3割は、お金で考えると1,000円と3,000円。3倍の差は非常に大きいものです。2・3割の新設は、多くの人が不安だったと思います。
しかし実際の影響の範囲は、厚生労働省の「介護保険事業状況報告」によると、それほど大きなものではありませんでした。2018年8月末の要支援・要介護認定者数は約653万人。そのうち、自己負担が2割の人は約34万人、3割負担の人は約25万人です。

介護保険の自己負担1~3割の人数とパーセンテージ

*2018年8月時点

2・3割負担に該当する人はおよそ9%で、大きな範囲での影響はなかったといえそうです。

負担割合の決め方

介護保険の自己負担割合は年金収入とその他の所得によって決まります。

利用者負担割合の決め方

上記の図の対象となるのは65歳以上の高齢者です。要介護認定を受けていても40歳以上65歳未満の人はすべて1割負担となります。また、市区町村民税が非課税、または生活保護の受給者も1割負担の対象です。

介護保険料の自己負担割合は、1年間の合計所得金額が基準となります。これは、本人の年金や遺族年金、一般所得者の給与などで、預貯金や有価証券などの資産性が高く換金性が高いものも、合計所得として計算されます。

負担割合の線引きとなる所得のめやすはわかっても、本人や家族では正確な所得を把握できていないかもしれません。
正確に「介護サービスを利用する本人が何割負担なのか」は、介護保険負担割合証でわかります。

介護保険負担割合証ってなに?

介護保険負担割合証は、介護保険サービスを利用するときの自己負担割合をお知らせする証書で、要支援・要介護認定を受けた人に発行されます。
新たに要介護認定を受けた人には、認定結果と一緒に郵送されます。すでに受けている人は、前年度の所得によって負担割合が決められ、毎年7月に届きます。

有効期限は8月1日から翌7月31日までの1年間。ただし、世帯構成や所得に変更があった場合には、期間の途中でも負担割合が変わることがあります。
変更により自己負担割合が上がると、多く受け取りすぎた給付分の返還が求められます。逆に自己負担割合が下がると、多く支払いすぎた分の還付を受けることができます。

第2号保険者(40歳以上65歳未満)は1割負担ですが、65歳になるときに再判定を行うことが必要です。
判定の結果によって負担割合が変わる場合には、65歳到達月の翌月から新たな負担割合が適用されます。ただし、到達日が1日の場合はその月から適用されるので、注意しましょう。

介護保険負担割合証は、実際にサービスを利用するときに、ケアマネジャーやサービス提供事業所などに提示してください。

割合別の負担額がわかる 介護保険サービス費一覧表

ここでは、介護保険の自己負担額がわかるように割合別の介護サービス費をいくつかまとめました。

在宅介護サービスの支給限度額

介護保険サービスを少ない自己負担で受けられるのは、上限額があります。その金額を超えると、オーバーした費用は全額自己負担となるので注意が必要です。

居宅サービスの支給限度額

*1単位10円の場合

施設に入居したときの介護サービス費

特別養護老人ホーム(特養)などの介護保険施設や、介護付き有料老人ホームをはじめとした特定施設では、施設で受ける介護のサービス費が要介護度ごとに決まっています。

特別養護老人ホーム(従来型)の介護サービス費

特別養護老人ホーム(ユニット型)の介護サービス費

特定施設(介護付き有料老人ホーム等)の介護サービス費

*1単位10円で計算

老人ホームの介護サービスは、施設の種類、居室のタイプ、要介護度などによって変わります。詳しくは入居を検討する施設に問い合わせてください。

なお、介護サービス費は基本的には非課税のため、消費税はかかりません。ただし、福祉用具貸与(レンタル)・販売は消費税が別途必要になるため注意が必要です。

著者:オアシス介護

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