特別養護老人ホーム(特養)とは

「特別養護老人ホーム」、よく聞く老人ホームの種類です。はたしてどのような施設なのでしょうか?
特別養護老人ホームを表す言葉でよく聞かれるのが『終の棲家(ついのすみか)』です。介護を受けながら、人生を最期まで過ごすことになる老人福祉施設であるため、そのように呼ばれています。
長期入院が必要な疾患がある場合や、看取りを行っていない特別養護老人ホームでない限り、ほとんどの場合はその施設で人生の最期を迎えることになります。

費用の安さからも入居待ちになるほど人気のある特別養護老人ホームについて、詳しく見ていきましょう。

特別養護老人ホームの入居条件

老人ホームには、「ホームの種類」によって異なる入居基準があります。年齢や要介護度、認知症・疾病の有無などの条件がそれぞれ設定されています。

特別養護老人ホームでは、年齢が65歳以上であることと要介護度が(特例入所を除いて)3以上であることが必要です。医療的なケアが必要な、長期にわたる入院が必要な方や、伝染性の疾患がある方は入所ができない場合が多いです。
また、地域密着型の特別養護老人ホームでは、その地域の住民である必要もあります。

要介護1・2でも入所可能な「特例入所」とは

上記のうちで、要介護度に関する「特例入所」について気になる方が多いかもしれません。
この「特例」というのは、要介護1や2の方でも、施設を利用する必要があると判断された人であれば特別養護老人ホームに入所できるとされている条件です。

以下のような場合に施設利用が必要と判断されます。

  • 日常生活に支障をきたすほどの認知症の症状があり、行動やコミュニケーションをとるのに難があることが多い
  • 知的障害・精神障害等を伴っていて、日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通が困難であることが多い
  • 家族などから深刻な虐待を受けている疑いがあって、心身の安全・安心の確保が困難
  • 一人暮らしだったり、同居している家族が高齢または病弱であったりするなどの理由で、家族からの介護が受けられず、また地域での介護サービスや生活支援も十分に受けられない

これらの条件に当てはまると判断されれば、要介護1または2の高齢者も特別養護老人ホームに入所できることとされています。
この判断は施設側と保険者、つまり市町村で情報共有を行い判定されます。

その手順は、施設側に特例入所での申し込みがあった場合、施設側から保険者に該当するかどうかの意見を求めることからはじまります。
地域のサービス提供の状況や担当するケアマネジャーから聞いた内容も踏まえて、施設側に意見を伝えるといったものです。

これにより、特例入所に当てはまるかどうかが判定されます。
特例入所が認められると、要介護3以上の方と同じように入所の順番が決められ、入所を待つことになります。

特別養護老人ホームの特徴

最近は有料老人ホームと呼ばれる施設も増えてきていますが、入居一時金が必要であったり、月々に支払う賃料や食費などが高額な場合もあります。
それに対して、特別養護老人ホームは入居一時金の必要がなく、月額の利用料の負担も少ないなどの違いがあります。

ただし、費用負担が少ないということから非常に人気があり、入居までの期間が長くなってしまうことがあります。中には入居までに何年も待つ方もいるほどです。
一方の有料老人ホームは、その数もどんどん増えてきていますし、待機することもあまりなく比較的入居しやすい場合が多いです。

特別養護老人ホームに入居できる順番がまわってくるまでの期間は、入居したいと考えている特養のショートステイを利用して過ごされる方もいます。
または、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などで過ごされる方もいます。

また、特養は原則として要介護度が高い高齢者を受け入れ、24時間の介護を提供しています。『終の棲家(ついのすみか)』ともいわれ、多くの場合、人生の最期まで暮らすことができる施設でもあります。

特別養護老人ホームの介護・医療サービス

特養で受けられる介護サービス

特別養護老人ホームでは主に、その施設に常駐している介護職員による24時間の介護サービスを受けて日常生活を送ることになります。
受けられる介護サービスは、一人ひとりのニーズに合わせた排泄介助、食事介助、口腔ケア、入浴介助、安否の確認、緊急時の対応などです。

食事については施設によって違いがあり、施設内の厨房で調理した料理の場合もあれば、調理は外部の業者に委託されているところもあります。
いずれも、アレルギーに対する対応や咀嚼(そしゃく)機能に合わせた食事形態での提供が行われ、ご自分で食事を食べることができない方の場合は、介護職員が食事介助を行います。

食事が終われば、口腔ケアの時間です。歯磨きの介助や、義歯(入れ歯)の管理などを手伝ってくれます。
入居者各々が自由に過ごしている間も、介護職員による移動や移乗介助を受けたり、余暇を充実させるための介助を受けることもできます。

また、週に2度以上は入浴や清拭(せいしき:体をふくこと)することが定められているため、この際も入浴に関する必要な介助を受けることが可能です。
夜間、就寝している間もスタッフによる介護は続けられ、定期的な安否確認の見回りや、必要な入居者については排泄介助が行われます。

特養で受けられる医療サービス

特別養護老人ホームには看護師が配置され、毎日の健康管理や服薬管理などが行われます。看護師の配置数は、利用者30人以下で1人以上、利用者31~50人で2人以上、利用者51~130人以上で3人以上と決められています。

看護師はバイタルチェックを行ったり、介護職員と共に入居者に体調の変化がないかどうかを確認し、医療機関への受診が必要な入居者に関しては、受診の際のサポートも行ってくれます。

施設によっては、胃ろうなどの経管栄養法、インスリン療法、人工肛門、人口膀胱、人工透析、疼痛管理などのケアが必要な入居者も受け入れているので、必要な医療ケアが受けられるかは事前に相談してみるとよいでしょう。

特養で受けられるその他サービス

特別養護老人ホームで受けられる介護・医療以外のサービスについては、その施設によって違います。
どの施設でも受けることができるのは、生活支援サービスと呼ばれるもので、居室の掃除や洗濯、買い物などです。基本的な日常生活を送るためのサービスといえます。

施設の方針などによって大きく変わるのがアクティビティサービスです。
余暇を過ごすためのサービスであり、盛んに行われている施設とそうでない施設とがあります。イベントを行ったり、日常的に入居者に適した趣味の時間を設けたり、体操の実施をするなどのレクリエーションがあります。

イベントについては、1月はお正月に関する行事、2月は節分、3月は桃の節句、4月はお花見、5月は端午の節句などというように、年間を通して企画している施設も多いです。
要介護度が重い入居者は外出があまりできないため、季節の移り変わりを感じられないこともあります。そんな入居者にとっては、季節感を味わえる貴重な時間といえます。

また、毎日を充実して過ごすことができるように、園芸療法や音楽療法といったセラピーを取り入れている施設もあります。

特別養護老人ホームの基準

特別養護老人ホームでは、居室や浴室といった設備や、介護職員、看護職員などのスタッフの配置に関する基準が決まっています。

設備基準

特別養護老人ホームの施設基準は法律で決められています。

特養には、居室、静養室、食堂、浴室、洗面設備、トイレ、医務室、調理室、介護職員室、看護職員室、機能訓練室、面談室、洗濯室または洗濯場、汚物処理室、介護材料室、事務室、その他の運営上必要な設備が必要であるとされています。

ただし、これらのうちで、入居者の処遇に支障がない場合には、設置しなくてもよいものや、他の設備と兼用できるものもあります。

●居室

居室にはベッドやそれに代わるものが設置されています。
中には認知症などでベッドから転落してしまう心配のある入居者もいるため、超低床ベッドを用意したり、畳と敷き布団といった、和室のような寝床にしたりすることもあります。
また、ブザーなど、居室外に連絡ができる設備も用意されています。

●静養室

静養室は、心身の状態が悪く、居室で静養することが困難な入所者を一時的に静養させることを目的とする部屋です。
他の入居者もいる多床室では、体調を崩した本人がゆっくり休むことがでません。また、介護や看護のために職員の出入りが多くなってしまい、他の入所者が落ち着かなかったりすることがあります。

個室の場合でも、介護・看護職員室から遠い居室などでは、ケアがいきとどかなくなってしまう恐れがあります。
静養室は「介護職員室または看護職員室に近接して設けること」とされているため、入居者が体調不良の際などに静養室に移っても、安心してケアを受けることができます。

●浴室

浴室は、施設により設備が異なりますが、少しの介助を受ければ入浴できるという方から、寝たきりの方までが入浴できるような設備を備えているのが一般的です。

自分の力で移動を行い、入浴することができる方のためには、一般の入浴施設のような、大きめの浴室が備えられている場合もありますし、自宅にあるような浴室で対応している施設もあります。

それに加え、普段車椅子での移動が必要であったり、寝たきりの入居者のためには、機械浴というものがあります。機械に乗ることで、座ったままの姿勢や、寝たままの姿勢で入浴することが可能な設備です。

●洗面設備

洗面設備は居室のある階ごとに設置されていることが最低基準とされています。
ただ実際には、各入居者が毎日、何度も使うものなので、居室ごとに設置されていたり、ユニットごとに設置されていたりします。

また、車椅子の方でも利用できるように、洗面台の高さが工夫されていたり、洗面台の下の部分が空洞になっていたり、鏡が見やすいように傾けられていたりします。

●トイレ

トイレについても居室のある階ごとに設置されていることが最低の基準です。
しかし、これについても、多くの入居者が使用することになるため、実際には各居室やユニットごとに設置されることがあります。
また、必要であれば、居室にポータブルトイレを設置するなどの工夫もされています。

トイレにも各居室と同じように、外部に連絡をすることができるブザーなどを備え付ける義務があります。

●医務室

医務室は「医師法に定められた診療所とすること」とされている他、「入所者を診療するために必要な医薬品及び医療機器を備えること、必要に応じて臨床検査設備を設けていること」が必要だとされています。
この部屋で、定期的または必要な際に、医師の診察を受けることになります。

●調理室

調理室については、実際にそこで調理を行い食事提供する施設もあれば、届いた調理済みの料理を取り分けたり、温め直して提供している施設もあります。
どちらであっても、調理室として必要な設備を備えており、火気を使用する部分については、不燃材料を使用することが定められています。

●介護職員室

介護職員室は「居室のある階ごとに居室に近接して設けること」とされています。
介護職員は、この介護職員室で記録を書くなどの作業を行いながら、入居者の見守りなどを行います。

●食堂・機能訓練室

食堂と機能訓練室は、食事をするのに十分な広さがあり、機能訓練を行うにも十分な広さがある場合、兼用することができるとされています。

人員配置基準

特別養護老人ホームでは、決まった数の職員を配置することが法律で定められています。
配置が義務付けられているのは、施設長、医師、看護職員、介護職員、生活相談員、栄養士、機能訓練指導員、調理員や事務員です。

●施設長

施設長は1施設につき1人が常勤で配置されています。
この施設長が、施設の管理・運営を統括しています。

●医師

医師に関しては、入居者に対して健康管理や療養上の指導ができる人数がそろっていればよいとされており、人数の規定や常勤であるか否かといった規定もありません。
週に一度、定期的に医師がきてくれるという施設もあれば、不定期で対応しているという施設もあります。
ただし、入居者が急変した場合に、配置医師などが対応できるような状態にしておかなければなりません。

●生活相談員

生活相談員とは、施設内で入居者やその家族に対して、入所から生活まで相談援助・指導業務を行う職員です。
常勤で1人以上配置されることになっています。

●介護職員・看護職員

看護職員や介護職員は、入居者3人につき1人以上必要とされています。
また、看護職員に関しては、入居者の数が30人を超えない特別養護老人ホームでは1人以上、入居者の数が30人を超えて50人を超えない施設は2人以上必要であるなど、入居者の人数によって必要な看護職員の数が細かく決められています。

●機能訓練指導員

機能訓練指導員は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師のいずれかの資格を持つ人が配置されることになっています。兼務も可能です。

特別養護老人ホームのメリット・デメリット

特養のメリット(利点)

特別養護老人ホームに入所することには、さまざまなメリットがあります。

ほかの施設に比べて費用負担が軽い

まずは費用面でのメリットです。
特別養護老人ホームは、地方公共団体や社会福祉法人により運営されている施設。公的補助によって支えられているため、利用料は低額で済みます。

まずは入居一時金。多くの有料老人ホームでは、入居の際に一時金の支払いが必要です。
普通のマンションに入居する際に必要になる敷金のような費用であったり、中には非常に高額な費用が必要になる有料老人ホームもあります。ですが、特養には入居一時金がありません。
そして、月々に支払う料金の負担も軽いのが特徴です。

月額料金は、要介護度や居室の形態によって変わってきます。
居室の形態というのは、数人が同じ部屋で過ごすことになる従来型多床室、1人につき一部屋あるユニット型個室などです。
居室の形態は施設によって、多床室しかない施設もあれば、多床室と個室の両方がある施設、ユニット型個室しかない施設とさまざまなパターンがありますので、入所の申し込みを行う際には料金と共に確認しておいてください。

終の棲家にできる

また入所期間についてもメリットがあります。
特別養護老人ホームは終身での利用が可能な施設です。介護老人保健施設のように、原則3ヶ月で在宅復帰を目指すなどの、期間の区切りや制限などはありません。
長期に利用できる、終の棲家とすることができる特別養護老人ホームは入居者にとって安心できる施設なのです。

要介護度が高くなっても安心

特別養護老人ホームには、要介護度が高くなっても生活し続けることができるというメリットもあります。他の施設の中には要介護度が高くなってしまうと退去しなければならないケースもあります。

その点で、特養には要介護度が高い方、寝たきりの方のための設備がそろっており、要介護度が高いからといって必ずしも施設を退去する必要はありません。

特養のデメリット(問題点)

数年の入居待ちになることも

特別養護老人ホームを選ぶことのデメリットのひとつに、空き状況についての問題があります。
特養は、料金が安価で終身で利用できることから人気が高く、申し込みを行っている方がたくさんいます。常に入所の順番待ちをしている多くの待機者がいるため、地域によっては空きがあることはあるものの、申し込みから何年も待つことは少なくありません。

要介護3以上でなければ入居できない

入居に関してはもうひとつ、原則要介護3以上の高齢者しか入所することができない点もデメリットだといえます。
多くの施設では要介護度が1や2の方でも入居することが可能です。
ですが、特別養護老人ホームに関しては、2015年4月の法改正により原則として要介護度が3以上の方しか入居できなくなりました。

要介護3以上の方にとってはより早く入所できる可能性ができたというメリットになりますが、要介護度が低くても老人ホームへの入所が必要で、金銭的にも余裕がない方にとってはデメリットになってしまいます。

医療依存度が高い場合には、入居を断られることも

医療面でのデメリットもあります。
特別養護老人ホームは、介護サービスに重きをおいた介護施設です。そのため、医療に関わる職員の配置は多くありません。

例えば、看護師の人員基準は決まっていますが、医師の配置基準は明確ではなく常勤でなくても問題ありません。医師は非常勤の場合が多く、看護師も夜間は配置しなくてもよいことになっています。
このため、24時間医療処置が必要だったり、医療依存度が高い方に関しては、入所を断られたり、入所中にそのような状態になった場合は退所しなければならないこともあります。

特別養護老人ホームでの看取り

特別養護老人ホームには看取りを行う施設と行わない施設があります。
厚生労働省が2014年に発表した「介護サービス事業所における医療職の勤務実態および医療・看護の提供」によれば、看取り介護を行っている特別養護老人ホームは全体の約7割です。

看取りを行っている施設かどうかについては、看取り介護加算を算定しているかどうかを確認するといいでしょう。わからない場合は、施設に直接確認してみてください。

看取りを行う施設では、必要な医療的ケアが施設で対応可能である場合、本人や家族が望めば人生の最後を施設内で迎えることができます。
近い将来天寿を全うするという高齢者に対して、慣れ親しんだ場所で身体的・精神的負担を緩和させ、本人の意思を尊重しつつ亡くなる直前まで安らかに過ごせるような援助を行うのが看取り介護サービスです。

看取りをするにあたって施設内で特別なことを行うというよりは、日常行っている介護の中で、本人の気持ちにより添い、穏やかに最期の時間を過ごせるように努めるのが施設の役割になります。

その内容は、精神的・身体的なストレスの緩和、家族に対するケアにまで至ります。
本人が「もう何日も生きられないのではないか」と考えるような時期には、本人はもちろん家族も不安を抱えています。相当な精神的ストレスがあることも想像できます。

施設側は、そのような状態の高齢者が何を望んでいるのかといった希望を聞き、それに即したターミナルケアをしてきます。

終末期には、身体の衰弱や機能の低下によって、食べることや身体を動かすことができなくなることがあります。それに伴い、痛みなどがおこり、ストレスに感じてしまうことも。
身体面でのストレスは、栄養面の管理を行ったり、清潔の保持、楽な体位の工夫などを行うことで緩和していきます。

入居者の家族に対して適正な対応をすることも、看取り介護サービスのひとつです。
家族は、入居者と一緒に過ごすことができない時間があるため、施設職員が把握している身体的変化や介護の状況などを定期的に説明します。
その上で、家族の意向を聞き、本人の意見を併せて介護が行われていくのです。必要な連絡を継続的に行い、十分な相談、説明をすることで家族の精神面のサポートも行われます。

また、看取りを行った後についても、施設が対応してくれます。
亡くなった後は、エンゼルケアが施行されることもあります。エンゼルケアとは、亡くなった方に死後の処置を行うことです。
清拭(せいしき:体をふくこと)を行ったり、お化粧をしたりすることで死者をきれいな姿に整えます。希望があればエンゼルケアをご家族と共に行う施設もあります。

ユニットケアとは

近年よく聞かれるようになった特別養護老人ホームのかたちに「ユニット型特養」というものがあります。
これに対して「従来型特養」という施設がありますが、こちらは、以前からある特別養護老人ホームで、多床室と呼ばれる相部屋のある施設のことです。

たくさんの要介護者を介護する必要がある「従来型特養」では、介護スタッフがより効率的に介護できることを目的として、多床室にするなどケアのしやすさを重視した施設のつくりになっていました。
ですが現在では、入居者の尊厳を重視した個別ケアに注目が集まっています。それがユニットケアなのです。

つまりユニットケアとは、それぞれの入居者が個性を大切にしながら生活できるように、介護施設でありながら自宅に近い環境を整えてケアを行なう「個別ケア」の手法です。

「ユニット型特養」では、入居者一人ひとりに個室が備えられて、10人程度の少人数をひとつの生活単位として分けています。そうすることで、より細やかなケアを行うことを目的としてつくられた施設です。
介護スタッフは各ユニットに専従できるよう配置されます。入居者と介護スタッフが顔なじみになることで、アットホームな雰囲気が生まれるのです。
ユニットには、入居者や職員が集まることのできるリビングも配置されています。

近年新たに建設される特別養護老人ホームでは、こうしたユニットケアを導入する施設が増えています。

地域密着型特別養護老人ホームとは

特別養護老人ホームには、地域密着型特別養護老人ホームと呼ばれる施設があります。
この施設は、介護保険法改正があった2006年に新設された6つの地域密着型サービスのうちのひとつです。

入所定員が29名以下の小規模な施設であることが前提で作られており、原則として施設がある市町村に住民票をおいて暮らしている人だけが利用できます。
そのこと以外には、従来ある特別養護老人ホームと同じで、入浴や排泄、食事などの介護やその他のサービスを受けることができます。

この地域密着型特別養護老人ホームの登場などの条件も重なり、特養の空き状況は市町村によって違いが生じてきています。

特別養護老人ホームの費用

特別養護老人ホームは介護保険が適用される公的な施設であるため、入居一時金はなく、有料老人ホームなどに比べて少ない費用で生活できることが特徴です。
費用負担が少ないことから人気が高く、所得が低い高齢者でも利用しやすいといえます。

特養の月額費用

特別養護老人ホームでも、他の施設と同様に月々の支払いが発生します。
月々にかかる料金の内訳は、施設サービス費、居住費、食費、日常生活費などです。

施設サービス費

介護を受けるために必要となるのが、施設サービス費です。
その費用は、多床室やユニット型などの居室の種類や要介護度によって変わります。
例えば、従来型多床室の場合、要介護5の入居者の施設サービス費は月額あたりおよそ25,000円なのに対して、ユニット型個室の場合は27,000円以上です。

基本の自己負担額に加え、基準以上のサービス提供をする特養であればプラスの費用が発生します。
施設側が、設備、職員の体制など、規準を上回るサービスをすることによって基本料にプラスされる介護サービス費のことです。加算の内容はさまざまなので、施設によってその内容は異なります。

居住費

これは、一般にマンションなどに入居した際にかかる家賃のような費用です。
特別養護老人ホームの居室には、ベッドやタンスなどの収納家具が備え付けられていることもあります。その場合は、それらが込みでの値段といえるでしょう。

食費

食事は施設によって提供され、1日3食分の食費がかかります。
食事は1日分が準備されるため、外出などによって1食しか食べなかったとしても1日分で請求されます。

日常生活費

日常生活費は、個人によって金額が変化する費用です。
自宅で暮らしていても必要な費用なので、想像しやすいかもしれません。医療費、理美容費、被服費、嗜好品にかかる費用などがこれにあたります。

また、レクリエーションの際にかかる費用なども必要です。ただし、おむつ代については介護保険法で定められており自己負担の必要はありません。

月額費用の具体例

具体的な月額費用について、一例を紹介します。
なお、日常生活費については個人によりばらつきのあるものなので、一律で10,000円とし、1ヶ月は30日として計算します。

要介護5の場合(住民税課税世帯)

利用者負担段階:第4段階

●多床室への入所の場合

●ユニット型個室の場合

要介護3の場合(住民税課税世帯)

利用者負担段階:第4段階

●多床室への入所の場合

●ユニット型個室への入所の場合

要介護5の場合(住民税非課税世帯・年収80万円以下)

利用者負担段階:第2段階
※本人及び世帯全体が市町村民税非課税で、本人の合計所得金額、公的年金等収入額が80万円以下の方

●多床室への入所の場合

●ユニット型個室への入所の場合

要介護3の場合(住民税非課税世帯・年収80万円以下)

利用者負担段階:第2段階
※本人及び世帯全体が市町村民税非課税で、本人の合計所得金額、公的年金等収入額が80万円以下の方

●多床室への入所の場合

●ユニット型個室への入所の場合

このように、要介護度によって、またはどのタイプの部屋に入所するかによって、月額費用は大きく変わってきます。

介護サービス加算

また、これに加え各種サービス加算による負担額の増額があります。

加算は施設によりさまざまですが、初期加算やサービス提供体制強化加算、看護体制加算、介護職員処遇改善加算、外泊時加算、看取り介護加算などがあります。
加算が多いほど手厚い人員配置やサービスを行っていると考えられますが、負担額が増えるのも事実です。
ただし、加算部分の金額は数千円以内に収まっていることがほとんどです。

入所を考える際には、介護サービスの充実度や居室のタイプについて、本人の意向と併せて考える必要があります。

特別養護老人ホームでの負担軽減策

特別養護老人ホームでの利用料の支払いには負担軽減策があり、特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)医療費控除がそれです。

特定入所者介護サービス費

負担限度額認定を受けると、所得や資産等が基準を下回る方には、負担限度額を超過した分の居住費および食費が介護保険から支給されます。

通常は、収入や年金に応じて税金を納める額が決まっています。それによって利用者負担段階が定められ、この段階別に、特別養護老人ホームの負担限度額が決定されます。

この段階は、生活保護を受けているなどの条件にあてはまる第1段階から、住民税が課税世帯であるなどの第4段階までの、計4段階です。

例えば、住民税が課税世帯の方(第4段階)だと、居住費の負担額は従来型多床室で約25,000円なのに対し、生活保護受給者、老齢福祉年金受給者で本人や世帯全体が住民税非課税の方(第1段階)では、同じく従来型多床室で0円となります。

また、食費についても負担限度額が設定されており、住民税課税世帯(第4段階)では約41,000円なのに対し、第1段階では約9,000円になります。

特定入所者介護サービス費を利用するためは、事前に市町村に負担限度額認定を受けなければならないので注意が必要です。

医療費控除

特別養護老人ホームへ入所している際の費用については、一部が医療費控除の対象になります。

対象になるのは、施設サービスの対価(介護費、食費、居住費)として支払った額の2分の1に相当する金額です。日常生活費や特別なサービス費用については対象になっていません。

医療費控除になる額については、利用した際の領収書に、医療費控除の対象額が記載されています。確定申告の時期まで領収書を保管し、手続きを行ってください。

生活保護受給者の場合

生活保護受給者の方が特別養護老人ホームに入所しようとした際には、その費用を生活保護でまかなえる場合と、そうではない場合があります。

生活保護受給者の場合、居住費は従来型多床室に入所すれば月額負担は0円ですし、食費の負担は約9,000円です。

一方で、ユニット型個室の場合には、約25,000円の居住費がかかるなど、その費用負担の問題から入所できないこともあります。

ただし、一概に入所できないと決まっているわけではなく、ケースバイケースで認められることもありますので、市町村の担当課やケアマネジャーに確認してみてください。

特別養護老人ホームでの契約からの流れ

入居の申し込み方法

特別養護老人ホームに入所を希望する場合、まず、申し込みを行う必要があります。 現在何らかの介護サービスを受けているのであれば、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターの職員に申請を依頼してください。
入所希望者、またはその家族などが直接施設に提出することも可能です。

施設では入所を希望している方々の受付名簿が作られています。また、入所の必要度に応じて入所順位が決定されることになります。

入居決定からサービス提供までの流れ

特別養護老人ホームへの入所が決まった後は、施設との契約を経て入所することになります。
契約書には契約の目的や、施設サービス計画の他、利用者負担金についての記載がありますので、重要事項説明書と共によく確認するようにしましょう。

また、入所する際には本人の現在の状態(体調や基礎疾患、服用している薬の内容など)から、食事に関する事柄(アレルギーの有無、嫌いな食べ物など)、現在の生活状況や緊急時の連絡先まで、たくさんの事柄について聞き取りが行われます。
これは、入所後の生活をスムーズにスタートさせるためのものなので、確実に伝えられるようにしてください。

また、施設側は一人ひとりの入居者に対してケアプランと呼ばれる施設サービス計画書を作成します。 これは、入居者にどのような希望があり、施設内でどのように生活していきたいのか、また、それに対して施設側はどのようなサービスを提供していくのかを書き表したものになります。
その後は、施設サービス計画書に沿ってさまざまなサービスが提供されることになります。

特別養護老人ホームでの1日の生活

特別養護老人ホームで過ごす1日の流れはどんなものなのでしょうか。
施設によって異なるので、一例として紹介します。

1日のはじまりである朝にまず行なうことは、着替えなどの身支度です。必要に応じて介護スタッフによるケアが行われます。

準備が整ったら朝食です。通常食が食べにくかったり糖尿病などの疾患がある入居者に対しては、食べやすいようにやわらかくした介護食や、塩分や糖分に配慮した食事が用意されます。もちろん、必要な方にはスタッフが食事介助をします。

休憩などのあと、入浴の日であればスタッフの介助のもとで入浴します。
体調が悪いなどの理由で入浴ができない場合は、部分浴や全身清拭などで身体の清潔を保ちます。

昼前には機能訓練などを行い、お昼には再びその方にあわせた昼食が提供されます。
午後には、散歩やレクリエーション、おやつの時間などでゆっくり楽しく過ごすほか、午後に入浴を行なう場合もあります。
夕食後は早めの消灯となることがほとんどです。

特別養護老人ホームでの面会の注意点

このように1日が過ぎていく中で、ご家族が気になるのが面会時間ではないでしょうか。 何時から何時まで面会が可能なのかという点に関しては、施設による決まりを確認してください。
また、面会に行くのに適した時間を気にされるご家族もいらっしゃると思いますが、基本的には面会時間であればいつ訪問してもいいでしょう。

ただし、遠方から訪れる際など、ご本人とどうしても顔を合わせたいといった場合は、事前に施設側に電話などで確認することをお勧めします。
また、インフルエンザの流行期などには面接自体を断る施設もありますので、場合によっては念のために事前確認をしたほうがよいケースもあります。

施設の職員、例えば管理者やケアマネジャー、生活相談員といった特定のスタッフに相談などがある場合に関しても、アポイントメントを取った上で訪問することが必要です。

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