ケアハウス・軽費老人ホームとは?

軽費老人ホームは、A型、B型、ケアハウスと呼ばれるC型、都市型に分かれます。ケアハウスはさらに一般型、介護型と分類できるので、少々複雑なのがこの軽費老人ホームという施設種類です。
ですが、高齢者向け施設の中でも比較的安価な費用でまかなえるのが、軽費老人ホーム・ケアハウスの最大の特徴といえます。

ある程度自立した高齢者を想定しつつも、手厚い介護を受けられるケアハウスも存在するなど、それぞれの性格は少しずつ異なります。順を追って見ていきましょう。

軽費老人ホーム(ケアハウス)の種類

軽費老人ホームとは、家族からの支援を受けることが難しい低所得の高齢者を対象に、住宅を提供する施設です。自治体の補助金のもと、入居者の負担は低額におさえられることが特色です。

また、軽費老人ホームにはいくつかの種類があるので、まずはそれぞれの特徴を知りましょう。

食事の提供がある軽費老人ホームA型、自炊しなければならない軽費老人ホームB型は、自立しての生活に不安はあるものの身辺自立した方のための住まい。
一方、ケアハウスとも呼ばれる軽費老人ホームC型は、ある程度身辺自立した高齢者のための「一般型(自立型)」と、要介護者を対象とした「介護型」に分かれます。
また、都市型軽費老人ホームは、都市部に住む低所得の高齢者のための施設です。

同じ軽費老人ホームが5種類に枝分かれしているなんて、ちょっと複雑すぎる仕組みだな、と思う方もいるかもしれません。ですが、軽費老人ホームはA型・B型いずれも1990年以降新規の開設はなく、今後は一般型・介護型のケアハウスとして建て替え、統合されていく運びです。
現在はその過渡期にあたり、区分の難解さが目に付く状況となっているのです。

自治体からの助成金のもと、安心して暮らせる住居と生活支援を高齢者に提供するという軽費老人ホームのコンセプトは残しつつ、介護が必要になった方の受け皿としても機能するよう体制を整えていく予定です。

ケアハウス・軽費老人ホームの入居条件

軽費老人ホームに共通する入居条件として、主に以下の2点があります。

  • 自立して日常生活を送ることに不安や支障があり、なおかつ家族から充分な支援を受けることが困難な状況にあること。
  • 原則として60歳以上であること。
    あるいは、60歳以上の志望者とともに入居することが必要であると認められた配偶者や内縁者、3親等内の親族ならば、年齢による制限は適用されません。

「軽費」という名前の通り、無料あるいはごく低額な料金で入居者にサービスを提供するべく、希望者の所得によって制限をかけている施設もあります。
自治体からの助成金によって入居者の負担がおさえられている分、本当に必要な方にケアが行き届くよう配慮しての条件です。制限の基準は自治体ごとに異なりますから、個別に確認する必要があります。

その他、原則的には要介護度・医療への依存度が高い方は入居が難しいといえるでしょう。基本は介護施設ではなく生活サポートの付いた居住施設であるため、ホーム側から提供される支援内容は食事提供、見守りサービスや生活相談などごく限定的。

A型施設では行われる食事提供もB型施設にはないため、自炊できる程度の自立性は求められることになります。とはいえ、必要に応じて支援を行なうものとされています。
認知症や感染症などで共同生活の困難な方も介護型のケアハウス以外では受け入れ対象から外されることが多いです。

介護型のケアハウスは、65歳以上かつ要介護1以上の高齢者を対象者とし、入居後に要介護度が進んだことを理由として退去を求められることは、まずありません。介護予防の指定を受けている施設であれば、要支援で入居が可能です。
専門のスタッフが常駐して、施設内で充分な介護サービスが受けられます。

介護型のケアハウスは「特定施設」です。この特定施設と呼ばれる施設では24時間の介護サービスを受けることができます。
特定施設の運営条件には、医療機関との連携も挙げられますから、医療措置を必要とする方にもある程度までは対応できるようです。

介護型のケアハウス以外では、要介護2あたりが居住を続けられる目安といえます。介護が必要になった場合には、外部の事業者と別途契約を結んで訪問介護や通所サービスを受けることとなります。

また、A型、B型の軽費老人ホームは、一定の収入以上の方は入居できない所得制限があります。
一方ケアハウスには、入居条件に所得制限はありません。収入の多寡に応じて利用料金が決まります。

都市型軽費老人ホームでは、施設のある市区に住民票があることが必要です。

受けられる介護サービス

特定施設である介護型のケアハウス以外は、介護保険上「居宅」として扱われています。そのため、施設側から介護保険を利用したサービスは提供されません。
食事提供、洗濯などの生活支援を受けながら、介護が必要になれば外部の介護事業者と契約を交わして、訪問介護やデイサービスなどを利用することになります。

介護のための施設ではない軽費老人ホームでは、自立して生活することが難しいといわれる要介護3あたりを目安に、他の施設などへの住み替えを考える必要が生じます。
ちなみに、食事や着替えはどうにか自力で行えるものの排泄にケアを要する状態が要介護2、食事や着替えにまで手助けがいる段階が要介護3です。

身体の不自由さが増した状態で追い出されるかのような悪印象を受ける方もいるかもしれませんが、通常の介護保険制度のもとではサービスを利用するほど自己負担額がかさんでしまいます。
そうすると、要介護度の高い状態で居住を続けることは経済的な破綻を招きかねません。
その点、介護型のケアハウスでは、要介護度が上がっても手厚いサービスを受けながら住み続けることが可能です。

介護型ケアハウスとは

介護型のケアハウスとはどのような施設なのでしょうか?
「介護型」とされるのは、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている施設のことです。

高齢者向け施設が「介護付き」「ケア付き」と掲げるためには、「特定施設」としての基準を満たす必要があります。
特定施設とは、「特定施設入居者生活介護」の略称であり、厚労省の指定を受けた施設(=特定施設入居者生活介護事業者)を呼ぶときと、施設入居での特別な介護保険の区分を呼ぶとき、どちらにも使われます。

介護付き有料老人ホームの場合も「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているので、介護型のケアハウスでも同様の介護サービスを受けることが可能です。

特定施設では、スタッフの人員基準や施設の基準などを満たしていることが必要です。
入居者は、施設側から提供される介護サービスを月額固定料金にて受けることができるため、寝たきりの状態など長時間のケアを要する場合にも安心な仕組みとなっています。

特定施設の認定基準には医療機関との提携やリハビリ担当スタッフの配置も定められていますから、施設ごとに差はあるものの、医療措置についてもある程度までは対応可能となっています。

有料老人ホームと軽費老人ホームA型・B型との違い

高齢者向け施設を探すとき、最も間口が広いのが有料老人ホームです。主に民間企業によって運営され、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、健康型有料老人ホームの3種類をまとめて有料老人ホームと呼ばれています。
入居条件や経営方針は施設によって千差万別ですが、軽費老人ホームとの比較のためにおおまかな特徴をおさえておきましょう。

介護付き有料老人ホームは、施設基準や人員配置に関して厳密な決まりが設けられ、主に施設スタッフによって介護サービスが提供されます。
入居時には入居一時金として数十万から数千万円ほどのまとまった支払いを求められることが多く、月ごとに生活費と要介護度に応じた一定額の介護保険料を負担します。
月々の利用料はおおよそ12万円から40万円ほどの間に分布します。医療との連携も含めた手厚い支援を受けることが可能です。

住宅型有料老人ホームでは、スタッフによる生活支援のもと快適な暮らしを送りつつ、介護サービスに関しては基本的に外注のかたちをとります。運営基準がゆるやかな分、利用料は月10万円から25万円前後と介護付き有料老人ホームと比べれば若干安価ですが、やはり同程度の入居一時金が必要となるケースがほとんどです。

健康型有料老人ホームは、介護施設というより家事サービスや娯楽設備を充実させている自立したシニア向けのシェアハウスで、設置数自体は有料老人ホーム全体の1%以下と極めて少数です。
月々10万円から40万円ほどと予算もまちまちで、入居一時金は場合によっては数億円にものぼります。

ここからわかるように、有料老人ホームに入居する場合には、ある程度まとまった費用が必要になります。一方で軽費老人ホームは低所得者のための施設のため、有料老人ホームよりも安価に入居することが可能です。

3つの有料老人ホームは、いずれも入居一時金を支払うことで原則終生におよぶ施設での居住権を買い取り、月々の生活費を支払って生活支援や介護のサービスを受けることになります。
地方公共団体や社会福祉法人などが運営する軽費老人ホームは、A型・B型では入居者に所得制限を設けたうえで、ごく低価格にて居住スペースと生活支援を提供するという違いがあります。

また、原則として身辺自立のできない高齢者は入居が難しい、要介護度が上がると住めなくなる点は、一部の住宅型有料老人ホームや健康型有料老人ホームとも共通しています。

軽費老人ホームA型・B型どちらのタイプでも自己負担額は各種有料ホームの半額以下にとどまり、老後資金が潤沢でない方への救済措置として機能してきました。
しかし、残念ながらA型・B型の施設はケアハウスへの統合に向けた経過措置に入っているため、厚生労働省によると施設数は2016年の時点で200件余りしかなく、新規入居はかなり難しくなっています。

ケアハウスは、急激な高齢者人口の増加と高齢者の貧困問題の両面に対応すべく、所得による入所条件そのものは撤廃し、希望者の所得額を入居の優先順位と月額利用料に反映させる形式が採用されています。
ケアハウスは2016年時点で2,000施設が登録されています。

軽費老人ホーム・ケアハウスの合計件数が約2,200件に対し、有料老人ホームは2016年時点で全国に12,000件以上が点在しています。

軽費老人ホーム・ケアハウスは有料老人ホームと比べると充分な施設数を確保できているとはいえず、「待ち」が多い点が最大のネックです。ですが、ケアハウスの登録数は今後も増加が見込まれますから、積極的に情報のアンテナを張りたいところですね。

ケアハウス・軽費老人ホームの基準

人員基準

軽費老人ホームのスタッフは、生活相談員と介護職員、栄養士、調理員、事務員、そして施設長が、それぞれの実態に即したかたちで配置されます。
食事提供を外部に発注する場合の調理員、自炊するB型施設における栄養士など、施設の業態や規模によっては配置を免除される職種もあります。

夜間については宿直もしくは夜勤のスタッフを置くか、緊急事態に対応できる体制を整えておくことが義務付けられています。
また、特定施設入居者生活介護の指定を受けた介護型のケアハウスでは、入居者3人につき1人以上の介護スタッフの配置が必要であったり、機能訓練士が勤務することなど、法令に基づいた手厚い体制が敷かれています。

設備基準

軽費老人ホームでは、個室または夫婦用の二人部屋に入居することができます。洗面所やトイレ、収納やキッチンが備わった施設もあれば、キッチンなどは共用のこともあります。
その他、必要に応じて談話室や食堂、浴室、洗濯室などの共用設備が整っています。

細部の仕様は施設ごとにまちまちですが、ケアハウスの館内は基本的にバリアフリー構造となっており、車椅子での生活にも不便がありません。

ケアハウス・軽費老人ホームの成り立ち

軽費老人ホームの歴史は古く、その成り立ちは1961年にさかのぼります。自宅での生活が難しくなった高齢者に、食事の提供をはじめとする必要なサポートを低価格または無償で提供するべく創設されました。

その後、1971年には自炊が可能な高齢者を受け入れるB型が、1989年になるとケアハウスを創設。2010年には、都市部であっても低所得高齢者が老人ホームに入居しやすいようにと、設備や職員配置基準の緩和をした都市型軽費老人ホームが新設されました。

軽費老人ホームは老人福祉法を根拠とし、自治体からの助成金がその業態を支えているため公的施設としての性格を持つことも特徴です。

社会福祉法人や地方公共団体によって運営され、設置の際には都道府県知事への届出、あるいは許可を必要とします。半世紀以上の長い歴史の中で、軽費老人ホームはその時々に必要な役割を果たしているのです。

ケアハウス・軽費老人ホームの費用

軽費老人ホームの最大の特徴といえる費用面について具体的に見ていきましょう。
有料老人ホーム(介護付き、住宅型、健康型)の費用相場がおおむね10万円から40万円であることをふまえておくと、より特色がわかりやすくなります。

費用の特徴

ケアハウスでは、従来の軽費老人ホームで採用していた入居者の所得制限を撤廃した代わりに、年収に応じたサービス費の負担額を明示しています。

厚生労働省の資料によると、サービス提供費に関して年収150万円以下の方なら月々の徴収額は1万円。年収200万円以上なら3万円、300万円以上ならば9.2万円、といったかたちで18段階に区分されます。
ここに生活費、管理費、光熱費などが乗せられ、月額料金が算定されます。

また、有料老人ホームほど高額な一時金はかかりませんが、数十万円単位の保証金を要するケースも多いです。しかし、金額は施設ごとに異なるうえ、個々の資産状況を勘案してくれる場合もあります。

生活保護受給者の入居についても制限自体はありません。施設の利用料が地域ごとに設定されている家賃として支払える金額の上限に収まるのであれば、問題なく生活を送れます。 一般財団法人 日本総合研究所の2017年の報告によると、全体の4%、また都市型の約50%の利用者が生活保護受給者でした。

費用の相場

実際にかかる費用として、軽費老人ホームA型は、6万円台後半から15万円程度まで、前年の収入に応じて変動します。サービス内容が控えめな分、料金負担も軽い軽費老人ホームB型は月4万円前後。
低所得者層のセーフティネットとして安心な費用相場ですね。

ケアハウスでは、前述の年収別サービス費の他に、生活費や光熱費が計上されて月額料金が変動します。施設ごとに差があるものの、9万円から20万円ほどに収まる傾向が見られ、介護型では要介護度などによって異なります。

介護保険サービスの利用

介護型のケアハウス以外では、介護保険を利用したサービスを受けるには、基本的に外部の業者と都度契約を交わすことになります。

利用料は地域ごとに異なりますが、参考までに訪問介護の例を挙げます。
自己負担1割の場合、30分以上60分未満の身体介助で1回につき400円前後の費用が発生します。毎日利用すれば1カ月に約12,000円がホームへの支払いの他に必要となる計算です。
デイサービスなど他のサービスを利用すれば、もちろんその分の費用が別途かかります。

一方、特定施設の指定を受けた介護型ケアハウスでは、要介護度に応じた月定額の料金を支払う形式がとられます。要介護1なら、自己負担額は約16,000円。要介護度が重くなるほど真価を発揮するシステムといえるでしょう。

住所地特例

また、介護保険に関して覚えておきたいのが、住所地特例の制度です。
介護保険は全国一律に適用されるため、施設入居に際して住民票を動かさない場合でも利用自体に支障はありません。しかし、地域住民を対象としたサービスを受けられない、郵便物が届かないといったトラブルは考えられますから、やはり速やかに手続きを終えることが望ましいですね。

そんなとき、ケアハウスを含む特定施設や介護保険施設では、転出届の提出とともに「住所地特例適用届」という書類に被保険者証を添えて事務処理を行わなければなりません。
一連の手続きが済むと、住民票を入居施設に置きつつ、介護保険の公費負担は従来住んでいた市町村が請け負うことになります。

入居者当人に直接的な恩恵をもたらす仕組みではありませんが、特定地域の介護保険料負担が増大することを防ぐために必要な調整なのです。

まとめ

軽費老人ホームA型は、食事の提供、入浴などの準備や生活相談、健康管理など種々の身辺サービスが提供されます。B型では、食事の提供がないため自炊の必要があることが特徴です。
軽費老人ホームは、基本的に福祉よりも住宅整備にスポットをあてた集合住居です。

軽費老人ホームC型であるケアハウスには、一般型・介護型の2タイプがあり、介護型では介護付き有料老人ホームのような手厚い介護を受けることができます。また、バリアフリー設計であることから、車椅子であっても生活しやすい施設です。

そして、都市部の低所得高齢者が入居しやすいようにと2010年に創設されたのが、都市型軽費老人ホームです。

すべての人に貧富の差に関わらず安心で尊重された生活を送る権利があるというその理念は、格差問題が浮き彫りになった現在こそ注目されるべきものです。
今は軽費老人ホームからケアハウスへの移行過程にあり、施設件数の不足や医療ケアへの対応力など課題を抱えていますが、これからより一層の改善が期待できるでしょう。

中には老朽化した不充分な設備に多数の入居者を収容する事業者もありましたが、過去の火災事故など痛ましい事例を教訓に、業界全体で見直しが進められています。

●軽費老人ホーム・ケアハウスのメリット

高齢者向け施設への入居を考える際、一番のハードルとなる費用の問題が格段に安く済むことが最大のメリット。

●軽費老人ホーム・ケアハウスのデメリット

受けられるサービスは介護・医療ともに限定的。将来的に要介護度が重くなった場合、施設を退去する必要が生じる可能性がある。

軽費老人ホーム・ケアハウスを検討する際には、このデメリットを考慮して、住み替えも視野に含めた、長期的な人生プランを立てることがおすすめです。
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などのさまざまな施設種類による特徴を知り、幅広い選択肢を視野に入れておけば、いざというとき焦らずにすみます。

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